エロ率分析 (α)

〜分析結果サンプル〜


 Hong-Kong!!!

 雪降る聖夜の贈り物!

 英国風習クリスマス、聖誕祭に華々しきは天空街都!

 今や十二国志の第十三国! サンタはここにもやってくる!

 Hong-Kong!!!




/




 ――朝起きると、どてらがなかった。


「クソが」


 間違いなく、師匠の仕業であろう。

 一週間ほど前、紅可欣とバイトしに行った帰りに見つけてきたどてらだが(年末と言うこともあって、騒がしい香港の街はより雑然として混沌。ついつい財布のひもも緩むというものであった)、ものほしそうな視線で師匠が見ていたし。

 鍛えていても寒いもんは寒い。見栄を張るタイミングでもなし、肩をさすりつつカーテンを開く。

 寒いと思ったら雪まで降っていた。

 山頂はいつでも雪が積もっているが(高度的に雪が解けないほどじゃないはずなのだが)、この本宅側にも雪が降るのは珍しい。

 そのためか、家全体が冷えている。

 流石に20年前の水準だ。香港浮上直後に建てられたこともあり、気候に対応しきれていない感じがある。

 さみー、と呟きつつも着替えて、居間の方に向かってみる。

 師匠は既に起きているのか、居間側からわずかに暖気がやってくる――同時に、薬のにおいもする。ラジオの音も聞こえてくる。

 またこっちで調合してやがんな、と思いつつ、


「おはようございます」


 と声をかけながら居間に入った。

 師匠はストーブ(薪ストーブだ。外から薪を補充する)の近くの机、俺に背を向けながら、ごりごりと何かを磨り潰していた。

 当然のようにどてらを着ている。

 黒地に朱色の模様が入った、どこか大陸の風味が入ったどてらだ。

 俺のサイズなので、身長の割に足が長い師匠だと尻まで隠れている。

 ぴこっ、と長耳が動く。

 挨拶の返事は返ってこない。

 ぴこぴこ耳が動くだけである。

 最近気づいたが、師匠は焦ると耳が動く。

 外に出ているときは滅多に動かないのだが、気が抜けていると動いてしまうらしい。

 獣人系の尻尾じゃあるまいし、とは思うのだが、まあ気を抜いてくれること自体は、まあ、悪い気はしない。


「おはようございます。師匠」


 歩み寄りながら、念を押すように挨拶する。

 師匠の耳が赤くなっていく。

 手は止まっていない。集中しているふりをしているのかもしれないが、耳が動いた時点で俺に気付いていることは分かっている。

 ……まあ、師匠は尻以外に脂肪がついていない体をしている。

 多分寒いんだろう。俺とて脂肪が余っているわけではないが、寒いからとどてらを奪い去るほど師匠を敬っていないわけではない。

 まあそれならそれで自前の何か用意しろよ。とは思うのだが。むしろ、師匠用のどてらを探してくるか。


「朝飯食べました?」

「…………まだじゃ」

「じゃあ、作りますね」

「うむ」


 ウチの鶏は無駄に3メートルばかりの体高だが、理不尽なことに、卵は普通の鶏と大差ない。

 師匠が言うには、死を操るからには生も操れるでな、とのことなのだが。うっかり半不老になっているらしいのだが、アレは本当になんなんだろうか。

 ともあれ今日は昨晩炊いた米があるので、和食風――ちょっと塩味を濃い目に付けた卵焼きに、米と、昨日の煮物と、と言う感じのメニューにしよう。

 台所で炉に火をつけ、煮物を温めなおしながら、卵を割って割って割って溶いて溶いて、醤油と味醂と砂糖と塩コショウで味をつけて、フライパンに油を敷いて、卵を流しいれる。

 その間にキュウリくらいは切っておくか、と、氷室からキュウリを取り出して洗い、サクサクサクとぶった切る。


「すぐできますが、手ェ離せます?」

「うむ」

「分かりました」


 ということで、ちゃっと皿を用意して、固まった卵をクルクル巻いて、まな板の上に飛ばしてタントンタンと切り分ける。

 茶碗に米を盛って、あ、味噌汁ねーな、いやそもそも味噌がねーよと、久々に日本的習慣を思い出す。どてらのせいだろうか。

 ともあれ完成だ。盆に皿と茶碗、それに茶を乗せて、飯机に準備する。


「出来ましたよ」

「おう、おう」


 と言って、師匠は立ち上がり、俺の方を向いた。

 どてらの前は紐で閉じられていたが、中は薄着であった。


「師匠?」

「なんじゃい」

「タンクトップにどてらでストーブ前とか何考えてるんですか」


 師匠は長耳を垂らし、目線をそらした。

 盆を引き、師匠の席から離す。


「あっこらっ」

「アホだろばばぁあああ! 体温保護にはきちんとした着衣だババァああああ!」


 師匠の指が、盆の反対側にかかった。

 細い指のくせに異様に強い。単純な腕力(指力か)勝負以外の何物でもないはずで、その部分で俺は師匠に勝っているはずなのに、山でも引っ張っているように動かない。


「……クソが! 後で返せよ俺んだからなっ!」


 指から力を抜く。同じく強く引いていたはずの師匠の方に盆が飛ばないのはマジでどうなってるのかわからねえ。


「そのうち返す返す。さて、徹夜したからの、そういえば腹が減っておるわ」

「道理で。師匠がこんな朝早いはずないとは思ったんですがね。肌に悪いですよもう年なんですから」


 箸がマッハで飛んできたけど避けたぜ。


「箸あんま飛ばさないでくださいよ」

「最近とみに生意気になったのう」


 師匠が、やれやれと――しかしどこか嬉しそうな顔をする。

 素直じゃねえばばぁである。


「……俺もか」


 師匠の長耳が動いて、つぶやきを拾ったようだった。

 だが、師匠は何も言わず、食事を続ける。

 深々と雪が降っている。

 ラジオからは、クリスマスのジングルが聞こえていた。




/




「――と言うわけで、私はしばらく実家の方に戻ります。良いお年を」


 と。

 ウチに来た紅可欣が言った。

 小柄な身体を、もこもことしたコートに包んだ格好だ。

 ぺこり、と頭を下げるあたりは、それこそその辺にいる中学生――香港だと違うか――にしか見えない。

 赤毛も毛糸の帽子の中にすっぽりと納めて、普段よりもさらに子供っぽい印象である。

 雪の中を歩いてきたようだが、ケイも仙人道士、多少頬が赤くなってはいるが、息が切れてはいなかった。

 ……しかし、『良いお年を』とは、日本的な言い回しだ。言語統一塔の力か、あるいは、ケイが日本のことを調べたのか。


「ああ、良いお年を」


 こうとしか返せなくて悪いな――そう思いつつ、笑みを見せる。

 竜双子様からだっていうお土産を受け取りつつ、俺も言葉を返す。

 なんでも、竜双子様からのクリスマスプレゼントらしい。

 一抱えほどの、ラッピングされた箱である。

 香港は英国の支配が長かったためか、この手の洋風のイベントが根付いている。

 勿論、日本のように、(よく言えば)恋人達の日というわけでもなく、どちらかと言えば本場に近い、家族の日、ではあるのだが。

 こちらの方からも、竜双子様宅へ、祝いの料理を届けさせてもらっている(量が量なので、店屋物ではあるが)。

 ケイが入れ違いで食べられないことになるのはちょっとすまんなって気になるが。


「あ、そちらですけれど、銀精様に直接渡してくださいとのことです」

「ン? 分かった」


 なんなんだろうか。

 ともあれ師匠はまだ居間で薬を調合しているはずだ。

 ぺこりと頭を下げて去っていくケイを見送り、居間の方へと戻っていく。

 どてらもないもので、玄関先は肌寒かった。

 返せよなー、と文句を言いつつ、居間に戻る。


「師匠、竜双子様からのクリスマスプレゼントだそうですよ」


 と言いつつ入れば、師匠は紙を折りたたんでいるところだった。

 おそらく薬を包んでいるのだろう。


「おうおう、すまんの」

「いえいえ」


 師匠の近くに箱を置く。

 ちょうど薬を包み終わったのか、師匠は箱を一瞥し、包み紙に挟まったカードを取って開き、読んで、ぐにっ、と表情を歪めた。


「どうしたんです?」

「……なんでもないわい」


 べしっ、とメッセージカードを机に叩きつけて、不機嫌そうな表情だ。

 仲が良いのか悪いのか分からん関係性である。

 古い付き合いではあるそうなので、腐れ縁とでも言うのが正しいのだろうか。


「馬鹿弟子よ」

「なんです?」

「いくつになった」

「え? ……あー、もうすぐ17ですけど。……数えでいうと、あーと、もうすぐ18になりますか」


 今日が12月の25日だから、誕生日まではあと二週間ほどだ。

 一応と言うか、エルフは満年齢――誕生日に加算するより、数え年の方が主流らしい。

 今更1歳2歳変わっても大したことがないとか、そもそもみんな誕生日を覚えてないとか、覚えててもうっかり忘れるとかなんとかで。年齢まで忘れる民族が誕生日なぞ覚えているはずもない。

 欧州のエルフの、特に王族であれば、ささやかなパーティーを催すくらいはやるようだが。


「さよか、まだ17、8か……」


 ふぅむ。と師匠は、何事かを考えだしてしまった。

 逡巡するような、少し珍しい表情だ。

 何かあったんだろうか。

 ともあれ、直接渡せと言われたってことは、中身を見ちゃいけないのかもしれない。

 ひとまず一人にしよう、と居間を出る。

 出ると、足音がついてきていた。


「……部屋に戻ろうと思うんですが」

「さよけ。気にするでない」

「俺の部屋に来るならついでにそのどてら返して欲しいんですけど」

「――ではの」

「返せよぉ! 俺のだよ俺のジャパニーズ思い出だぞばばぁああ!」

「わしのおぬしの思い出じゃしー! においが薄れたら返してやろうー!」


 なんかかわいいことを言いながら、師匠が居間へと駆けていく。

 マジで風の如しなあたり、体術の無駄遣いである。

 クソが。と呟きつつ、部屋に戻る。

 部屋でできることは色々とあるが、たまにはゆっくりと過ごすのも悪くはない。

 "銀杖"はいいダンベルになるのである。




/




 こん、こんと音がして、それで目が覚めた。

 窓からだ。


「……あ゛ァ……?」


 身を起こせば、部屋全体が冷えているし、暗い。

 本を読みながら運動していたら、眠ってしまったらしい。

 いかんな、と思いつつ、窓の外を見る。

 渦状馬が悪戯でも――と、思ったのだが。

 そこにいたのは、真っ赤な服をきた、師匠だった。

 真っ赤な服ではあるが、白い肌がかなり露出されているというか――夏場の露出度というか。

 鎖骨はほぼ丸見えで、スカートは股下数センチの短さだ。

 ぺらっぺらの胸元は緑のリボンで隠されている。

 色の濃いタイツを履いているおかげで、下着は見えないが。

 肩口には申し訳程度にケープを羽織っており、真っ赤な帽子をかぶってはいるが、ひどく寒そうな格好だった。まだ雪も降ってるし。

 師匠は震えながら、青い唇で言った。


「ふぉっ、ふぉっふぉっ……ささサササンタタたたささささ寒い寒いあうううう」

「おいおいおいおいおいおいおいおい」


 窓の鍵を開くと、師匠が転がり込んできた。

 肩や頭、尻に乗っていた雪が室内に落ちる。


「ささささ流石に寒い寒い寒い寒いさぶさぶさぶさぶ」


 二の腕にさぶいぼが立っているのが見えた。

 師匠は真っ赤な手袋を外してしゃがみこんでカタカタ震え始める。

 俺の方も寒いので、窓を閉めて、毛布を師匠にかけてやる――多少汗臭いかもしれないが、さっきまで寝ていたので暖かいはずだ。少しだけ我慢していただきたい。

 で――どう見ても、日本式クリスマス限定コンパニオン――ミニスカサンタなわけだが。


「なんでサンタなんかしてるんですか師匠。年考えましょうよ」


 手袋が飛んできたので避けたが、手袋が避けた先の壁にめり込むってどうなってんだ。


「うるっ、うるさいわい。ほ、ほれ、おぬし、未成年じゃろ、子供じゃろ」

「まあ、……未成年ではありますが」


 子供と認めるには抵抗があるというか、このババァに子供とか言われたくねぇ。

 ともあれ、ピン、と話がつながった。

 サンタ衣装は、竜双子様からのプレゼントで。

 あのメッセージは、師匠がこうなるような煽りだったのだろう。

 めんどくさがりのぐーたらでいて、直情型の師匠である。

 ようやく人心地がついたのか、師匠は毛布を纏ったまま立ち上がった。


「ン、ごほん。……じゃからな、今日はおぬしにくりすますぷれぜんとを与えようと思ってじゃな」

「はぁ。はい」

「なんじゃ気のない返事をしおって」

「普段の自分の言動思い出せよ残念師匠。……で、何も持ってないみたいだが、なんだ、奥義でも教えてくれるんですかね師匠」


 古来、奥義は月の無い晩に伝授されたという。雪明りのある夜ではあるが、人目につかないって意味ではその辺の闇夜よりは上等だろう。

 まあ、まだまだそんなものを使える力量でないことは、よくわかっているが。


「いや。なんじゃ。今日がくりすますだと知ったのは、今朝がたでの。なーんにも用意しておらんかった」

「まあ、ですよね」

「うむ。モノを与えるにしても、宝貝は"銀杖"がある以上十分であろうし、あまり与えても使いこなせるとは思えぬ。

 護符の類は今からでは準備が間に合わんし、薬も取り置きは与えるべきでないものばかりじゃし。

 ではどうするかと考えてな――」


 師匠は、すう、と息を吸った。

 長耳がぴこっ、ぴこっ、と揺れている。

 ケイ(13歳)以下の発達具合の胸部をそらして、軽く俺を見上げて、言った。


「――であるので、今日はわしがぷれぜんとじゃ」


 ――なるほど。と思う。

 ぐちゃぐちゃと言い訳を並べ立てていたが――つまるところ。今日は犯してほしいってことか。




/




 真っ赤な衣装――ミニスカサンタの師匠を、ベッドに横たえる。

 帽子を取れば、少し珍しく、師匠は髪を降ろしていた。

 考えてみれば、師匠がこうして、俺の部屋のベッドに横たわっているってのは、初めてか。

 しおらしい表情――真っ赤な頬は、上気しているってよりは、寒さの残滓か。

 軽く耳に触れてみれば、かなり冷えている。

 気を操ることで代謝を活性化し、寒さに耐性を得ることは可能だが、体表が冷えることそのものは避けえない。

 耳のような部分はそれが顕著だ。

 ぴん、と伸びた長耳を温めるように、手で包む。

 冷えてんな、と思う。

 ケープの表面は、雪が解けたためか、少し湿気っている。

 もしかして、とは思うのだが、入ってくる前に――ノックの前に、しばらく外にいたのだろうか。

 変なところでヘタレというか。

 いつものように、傍若無人、遠慮無用と振る舞えばいいものを。

 ケープを外してやり、肩口に触れると、やはり冷えている。

 毛布をかぶって、布団をかぶって、枕に頭を置く。

 肩口を抱き寄せて、ぎゅ、と抱きしめて、ふー、と息を吐いて、目を閉じる。


「じゃ、今日は抱き枕でお願いします……」

「待てぃ」

「なんです?」

「なんですではないわこの馬鹿弟子が」

「自由にしていいってことはこうしてもいいってことだと思うんですが」

「いや、……馬鹿弟子がぁ! 言葉の裏を読め、いや、表か。むしろ表か! わしの意を汲め!」

「理不尽じゃないですかねそれ。俺寝てるところ起こされたんですが……プレゼントもらう側ですよ俺」

「この状況おぬしの方が理不尽じゃぁ!!」


 腕の中で暴れられる。どうしてこの姿勢から内臓にダメージが来る寸勁撃てるのか、これが分からねぇ。流石にこの距離でからかうと死ねる。

 ぐぼほ、と身が折れる――師匠が腕の中でくるりと回った。

 硬直した肩を引かれ、師匠にのしかかる形にされた。


「うわーっ、だめじゃー、こんな風にのしかかられてはていこうできーん。しきゅうがほわいとくりすますにされてしまうぅー」

「…………」

「無言はやめよ。わしが悪かった」


 ゲロ吐きそうなところを耐えて、フー、と一息。

 師匠にのしかかった形になっているので、腕立て伏せのように身を軽く起こす。

 眼下に師匠の顔がある。

 少しは暖まったのか、頬の上気具合が変わっているように見える。

 長耳が、しなり、と柔らかくなっている。

 顔を落とせば、きゅ、と師匠は目をつぶった。

 半開きの、可能な限り力を抜いたと見える唇も魅力的ではあったが、そこからは外して耳を甘噛みする。


「んやっ❤」


 耳元で、驚いたような声が出た。

 舌で耳の凹凸をなぞり、反対側の耳は手で軽くふさいでやる。


「んぁっ、ぬくい、くすぐったいっ」


 高い声――鼻に抜けたような声だ。

 反対側の耳は、手のひらで愛撫する。

 わざと音を立てるように耳をなぶれば、師匠が堪えるように俺に抱き着いてくる。


「んっんんぅ❤ あふっ、ひぃう❤」


 師匠は、耳だけでイきそうな声を出す――それは、俺の方にとっても同様だ。

 甘い声を聞くだけで、股座がいきり立つ。

 耳から口を放し、抱き着いてくる腕を緩ませる。

 少し身を起こせば、口を半開きにして、はぁはぁと荒い息を吐く師匠の顔が見えた。

 ミニスカサンタ衣装は、かなりギリギリだ。

 リボンと白いファーで隠れてはいるが、少しずらせば、予想通り、薄い薄い肉の頂点が見えた。

 留めるものはなにもない――しいて言えば、ぴんと尖った乳首だが。流石に常に乳首を立てていることが前提の服などありえない。

 ずり下がって落ちそうな構造だが、さっき抱きしめたとき、背中側にジッパーの感触もあったので、かなり体にフィットした形状なのだろう――わずかに魔力を感じるので、体格に合った形に変形するタイプの衣服だろうか。

 顔を少し下げて、露出させた胸を責めることにする。

 師匠は腋も性感帯だが、ここは恥ずかしがるので(そのままヘッドロック食らうこともあるので)もう少し蕩かしてから舐めてやることにする。

 桜色のちいさな乳首――と言ってもあるのは首だけで体と言うべき乳房がさっぱりないわけだが――に口をつけつつ、気になったことを聞いてみる。


「竜双子様からの贈り物ですよね、これ」

「ンッ、そ、そうじゃ、が」

「まあ、師匠がこんな、雄に媚びる服を持ってるとは思いませんでしたが」

「こ、媚びっ――」

「媚びてるでしょうが。どう見ても。乳首ギリギリだったでしょうが。なにがわしがプレゼントじゃ、だよ。師匠がマゾの淫乱であることなんか分かり切ってるんだよ。たまには素直に媚びやがれ」


 どうせならリボンだけ身体に巻いて来てくれりゃあ、俺だって遠慮もなしに襲う。

 半端に媚びるから腹が立つ。

 ……まあ、師匠に素直にオンナノコされたら、俺が勝てるわけもないのだが。

 そういう意味では、節度を守るために役立っていると言えなくもない。


「だ、誰が、淫乱じゃぁっ……❤」

マゾの方は否定しねーのか。被虐趣味、って言った方が分かるのか?」


 乳首を摘まみ、軽く力を込める。


「んっンンン❤」


 師匠は乳首で釣り上げられたかのように背をそらす。

 強くつぶった目じりから涙がこぼれた。

 すぐ泣くな最近――と思いながら、顔を近づけて涙を舐めとる。

 罪悪感がないでもないが、ここで手を緩めるとまた挑発してくるので、そのまま続けてやる。

 手をスカートの側に伸ばす。

 裾にファーがついているが、それにしたって短い、短すぎるスカートだ。

 師匠のケツのデカさなら、おそらく普通に歩くだけで尻肉がハミでるだろう。

 腹側からスリットに手を這わせる。


「普段はタイツなんか履かないくせによ――って、ンン?」


 タイツの上から股間をさすって気づく。

 いくらなんでも、クリトリスの尖り方がダイレクトに過ぎるというか。

 具体的に言うと、タイツ一枚分の感触しかないというか――。


「……上は普段からサラシだからまあいいとして、なんで下履いてないんだ師匠」

「ふぇ……?」


 師匠は、涙を湛えた目で俺を見上げてくる。

 なんで普段クッソ強いくせにこういう時はクソ弱いのか。


「これ、ぱんてぃすとっきんぐとかいう……?」

「…………」


 女性の衣服には、大して詳しくないが。

 確かに、言葉的には、下着+ストッキングで、パンティストッキング、ではあって、下着はつけなくていいのかもしれないが。


「師匠……これ、生地の薄さ的に、下着付けないと透けてると思うんですが」

「えっ」


 身を起こし、師匠の股に割って入る。

 困惑した様子の師匠のむっちりとした――タイツで締め付けられてまた魅力的な脚を抱えて、ぐい、と持ち上げる。

 尻を抱えこむような形だ。


「ひゃっ、わ、あぁあっ」


 師匠が声を出し暴れかけるが、止まった。

 我慢するように下唇を噛んで、尻を持ち上げられたまま、顔をそらした。

 眼下に秘所が来る。

 外はぼんやりと雪で明るい。だから、黒地のストッキングであっても、どうなっているかは見えてしまっていた。

 ぴんと尖ったクリトリスが、締め付けにも負けずに自己主張をしているほか。

 尻の深い谷間にもぴっちりとフィットしたストッキングは、尻穴のしわまで数えられそうなくらいの薄さである。

 濡れて透けるようなものでもない。

 明らかに、そもそもが薄い。


「……これ、普通に下着もつけるタイプのだと思います」

「……痴女ではないかぁ……」


 聞きたくない、とばかりに、耳が垂れた。


「いや、この格好で来る時点で既に」


 ついで、師匠は両手で顔を覆った。

 そして、そのままぷるぷる震えだした。

 そうではあっても、股は閉じない。

 本当に、自分がプレゼントのつもりらしい。


「……破りますよ」


 指先で摘まんで、股の部分を開く。

 尻と同じく、肉が発達した秘所が露わになる。

 ストッキングでやや蒸れている。

 指を入れて、愛液で張り付いた破れ目を広げてやる。

 恥辱に震える師匠の気を紛らわせるためにも、と、重なった肉を広げる。

 女のにおいが最も強い場所だ――と言っても、エルフである師匠以外のにおいなんぞ嗅いだことはない、意識したことはないのだが。

 くぅ、と、軽い呻きとともに、太ももに少し力が入った。

 それによってか、とぷ、と穴から愛液が漏れだす。

 口を付ければ、師匠の味がした。

 心情によって味は変化する。

 何を食っても砂のような時もあれば、微妙な味わいでも楽しめることもある。


「これっ、吸うなっ、んやっ❤ うぅ❤ そこ指っ❤」


 タイツで包まれているせいか、いつもより尻肉の波うちが弱い。

 だがこのすべすべとした感触もいいものだ。


「おっ❤ ひっぃ❤ はぅっ❤ うっ、うぅうう❤ んっ、くぅ❤」


 師匠の手指がシーツを握った。

 イくのを耐えるように歯を食いしばっている。

 身体を折り曲げているせいで呼吸がしにくいのもあるだろうか。


「あっ、やめよっ、尻穴ぁっ❤ やめ❤ 尻穴❤ 舌❤ ほじるなァっ❤」


 尻肉を割り開けば、むわ、とにおいがした。

 体臭が薄い――それにヒトのそれとはやや異なるとはいえ、ムッチリケツの谷間で、今日はほぼほぼ座りっぱなしとくれば、いい具合ににおいがする。

 その中心であるすぼまりを責めてやると、師匠がびちびちと暴れ出す――出すが、穴に指が入ったままだし、腹も抱きすくめてロックしている。

 師匠の声が高く、甘く、途切れ途切れになっていく。


「イっ……ぐ、きっ、来よるっ❤ ぁぁあっ、わから、ン❤ 馬鹿弟子っ❤ 馬鹿弟子がぁっ❤ ばかぁあっ、あぁ――っ…………!」


 ひっくり返されたままで、脚をピンと伸ばして、声なき悲鳴を師匠はあげた。

 腰から下が大きく震える。

 シーツが破れたような音が聞こえた。

 はひ、はひ、と浅く早い吐息が聞こえる。

 師匠は柳眉の端を下げて、目を閉じて、絶頂の余韻を味わっている。

 尻を下ろしてやると、脚がだらしなく、力なく広がった。


「こ、こしから下が……とけるかと、思ったわ。ばかたれ……」


 片目だけを開いて、師匠が言う。

 弱々しいほどの声だ。

 汗をかいた髪の毛に指をとおし、頬に触れる。

 師匠は両目を閉じて、掌に頬をこすりつけてきた。


「まだイケますか」

「……無論。今日は、わしはぷれぜんとじゃからの……」


 長耳が、ぴこぴこ揺れている。

 ――それはつまり。今日は、俺のモノだって、言いたいわけか。


「いちいち素直じゃねーな師匠」

「……何がじゃ」

「なんでもないですよ、と」


 だが、それでこそ、か。師匠が素直に、抱いて、とか、わしマゾじゃし、とか言って来たら偽物を疑う。

 顔を近づけ、軽くキスをする。

 師匠も目をつぶり、顎をあげるように、ついばむように、俺の唇を追って来る。

 ん、ふ、と吐息が顔にかかる。

 くすぐったく思いつつも、頭を撫でるように抑え込み、深く口づける。


「ん……❤」


 ――その状態で、腰の位置をずらす。

 師匠の腕が俺の首に抱き付いてきた。

 ちう、ちゅ、と、唇を吸われている。

 ――師匠の股の間には、俺がまだ入ったままであり、股は開かれている。

 誘い込まれたので、舌を絡めて、顔の角度を変えて深くキスをする。

 顔が小作りであり、舌も歯も小作りだ。

 ――狙いを定める。

 不満そうに尖らせたり、にまにま笑ったり、うがーっと怒ったり、怜悧な印象を与える容貌をしておきながら、師匠は表情豊かだ。

 眠っているときなど、師匠の美人さに驚くことがあるくらい、普段は雑な表情をしている。

 ――唇を離し、撫でつける手を止めて、言う。


「師匠」

「ん、ぁ……?」

挿入れます」

「ふぁ、あっ❤ あぅうああああァ――っ❤」


 頭を押さえつけ、ズレないように固定し、一気に奥までぶち込んだ。

 身の下で師匠がのけぞる。接した腹筋が痙攣しているのを感じる。


「いっ❤ きなりっ❤ ばかっ❤ なんというぅ❤ ばがぁっ❤」


 無視して身を起こし、くびれを掴む。

 いつも思うが、本当に細い腰だ。

 ややへそ寄りに掴んだ手の親指は、子宮の直上あたりに来ている。

 いきなり押し入った男根に混乱しているのか、太もも、尻、腹筋が震えているのが見て取れる。

 内がきゅんきゅん絡みついてきている。

 俺の方も、ほぐしたとはいえ、いきなりの一撃をぶち込んだのだ。

 摩擦は強く、衝撃に打ちのめされた内の締まりもあって、うっかりと出してしまいそうになる。

 ぐり、と親指で子宮のあたりを亀頭に押し付けるようにしてやると、師匠がのけ反って鳴いた。


「今日は、なんと言うか――あれだ。師匠」


 聞いているか、聞こえているかどうか分からないが、宣言する。

 カリ首の裏側までぴっちりと肉が絡んでくるかのようだ。

 きめ細かいひだは、まさしくセックスのために作られたモノであろう。

 朱いミニスカサンタ服は、上下にズレ下がりズレ上がり、腹巻よりは多少マシ、ってくらいだ。

 裏から見ればむやみにデカいケツが全露出しているだろうし、浅く早い呼吸で上下しているのがよく分かる胸もほとんど露出させた。

 パンストを履いた脚は普段とはまた違った良さがある。

 外身もいいが、中身もいい。

 乳だけは本当に残念に残念を重ねたようなそれだが、細身のくせに、突いても突いてもはじき返してくるかのような尻肉

 肩はきゃしゃで、銀髪は流れるがごとく。これを触らせてもらうのは、わりと好きだ。

 表情豊かな顔を、今は快楽の衝撃で歪めている。歪めたのは俺だ。

 ――ああ、と思いながら、笑う。


「ここまで耐えた俺を褒めてくれ」


 ひぇ、と、師匠が泣き笑いになった。

 腰が、ぞくん、ぞくんと震えている。

 なぜかと言えば、俺が腰を引き抜いているからだ。


「おぬ、おぬし……ま、まてっ❤ まっ、まだわしっ❤ ――い、いい子っ、おぬしはッ、本当にぃ❤ よ、ようやっておるっ❤ いつも感謝してお゛っっ❤」


 愛液が飛び散るほどに突く。

 ミニスカサンタ服がズレてしわが出来る。

 再度強く打ち上げられ、師匠がのけぞった。


「ィいっ❤ あ゛ッ❤ はやっ、はや゛❤ ァ❤ ア❤ あっ❤」


 小刻みに奥を突いて突く。

 師匠はのけ反ったまま帰ってこない。

 姿勢のためか、ぴたりと汗で張り付いたミニスカサンタ服の上から、腹にて上下、前後する俺のちんぽが分かる。

 薄い、引き締まった、脂肪が乗っていない腹だ。

 師匠が腰を掴む手を掴んできたが、子宮を上から抑え、その上で尻の方を動かせば、


「あ゛ッがぁ❤ ア゛❤」


 と、電撃でも食らったかのように落ちた。

 自分本位の動きだ。

 壊れた人形を揺さぶるようにってほどのサイズ差はないが、似たようなものだ。

 師匠は突かれるたびに鳴いて、締め付けるだけの肉と化している。


「ク……!」


 意図しない風に動くオナホのようなものだ。しかも温かく、そして声を出す。

 感触、視覚、聴覚に、臭覚まで刺激されて、ボルテージが高まっていく――奥に押し付けて擦りつけ、子宮口に亀頭をねじ込むように、奥に、奥に――そして、容赦なく射精する。


「あぁっ、――ああぁっ❤ あァあ――っっっ❤❤❤」


 ひときわ高く、大きな声。

 折れそうなくらいに背筋をのけぞらせて、身体全体で弓を作る。

 背に手を回して支えてやりながらも、最後まで気持ちよく出し切るために、子宮口をこね回す。

 尿道に残った精液も絞らせるように、だ。

 最後に残った精液を、力を込めて撃ちだす。

 その頃には、流石に師匠も絶頂から降りてきている――下半身はぐったりとしているが、両腕で顔を覆って、ひぐひぐ泣いている。


「段々弱くなってないですかね、師匠」

「わっ……わし、おぬしだけじゃぞっ……❤ おぬしが、はじめてじゃったのにっ……❤ こんな……こんなにされてっ……」

「……俺も、師匠だけですってば」


 ――師匠が900年モノのヴィンテージであって良かった。

 これを他人が抱いていた可能性があるって考えるだけで、わりとかなり、腹が立つと言うか――嫌な感じがする。

 そうではなかった。決してそうではなかったというのにだ。

 苛立ちまぎれに、男根を引き抜く。

 ひぅ、と、恥骨の裏を削られて、師匠がまた甘い声を出した。

 わずかに遅れて、どぽり、と精液が零れる。

 タイツの足を抱えて師匠を裏返す。

 完全に、下半身から力が抜けている。

 恥丘だけを露出させたタイツをもう少し破って、尻側へ広げる。

 師匠と言えばやはり尻だ。

 師匠の性的魅力の7割くらいは尻にあるのではないかとすら思う。

 尻たぶを広げて、顔を近づける――何を見られているのか察した師匠の手指が伸びてくる。

 だが遅い。尻たぶを広げた親指を、その穴に押しこんだ。


「ひィっぐぅ❤」


 師匠が鳴く。

 ぐぱ、と尻穴を左右に広げてやる。

 とは違う、肉の洞だ。

 ちょっと、入るかどうか心配ではある。

 前々から少しずつ弄っていたし、感度は明らかにいい。全身の筋肉が柔軟なのは確かで、括約筋もそうであるのは分かっている。

 フッ、と息を吹き込んでやると、力が完全に抜けていたはずの尻肉がぞわぞわと震えたのが見て取れた。

 右の親指を抜き、代わりに人差し指と中指の二本を侵入させる。


「う゛っ❤ はぅっ❤ うぐっ❤ ばがっ、ばかもっ❤ お゛ッ❤」


 尻穴の中。入り口付近を一ひねり。

 穴を指二本で削られて、寝バックの姿勢のまま師匠が震える。

 脚を浅く開いているのは無意識なのか。左の手指で尻肉をわしづかみにしたまま、中を指紋で磨くように動かしてやる。

 師匠はシーツに顔を埋め、握りしめて、やたらと肉のついた尻を震わせるのみだ。

 ぶぴ、びゅぷ、と、穴から精液が噴き出ている。


「なぜッ❤ そごっ❤ をぉっ❤」


 師匠の尻が特別エロいのが悪い。

 ――ともあれそろそろよかろうか、と、親指を引き抜き、二指も抜く。

 その背にのしかかって、右の手指、先ほどまで尻穴に入っていた指を、口元に滑らせる。

 シーツと顔でだいぶ拭われてはしまったが、師匠の口の中に、指は入った。

 舌がおずおずと指を舐めてくる。

 口の中を、裏から蹂躙し、顎もささえてこちらを向かせる。

 泣きはらした目がこちらを見るが、大変申し訳ないことに、今日は優しくできない。

 亀頭尻穴に触れる。

 師匠の目じりから、大粒の涙がこぼれた。


「ひゃめ……くる、ぅ……わひ……らめになる……❤ ぜんぶ、おぬしのに、されてしま……❤」

「今更何を。――今日は師匠がプレゼント、でしょうが」


 のしかかり、体重をかける。

 まだ一発しか出していない男根は固く、ほぐす間にリチャージも済んでいる。

 愛液精液が絡んでぬとぬとの男根は、ぬめりも十分だろうと思われた。


「やらっ……あぁ、あ゛、ぐ、ぁぁあ……❤」


 きつい肉の輪を、亀頭が通り過ぎる。

 師匠が逃れるようにシーツをかきむしるが、口の中に入れたままの手指で抑え込む。

 のけ反った足裏が、俺の背を叩いた。

 先ほどまでとは痙攣の仕方が違う。

 音で表せば、がくん、がくん――と言った感じか。

 無理なく。あるいはこれ以上なく無理ある形で、肉と肉が接する――根元まで入る。


「かッ……❤ ァ……❤」


 呼気が途切れ途切れであることを、右手で感じる。

 とは言え、死ぬわけではなかろう――舌をつまんで引っ張りながら、腰だけを動かすように、軽く引き抜く。

 つるつるとした腸壁の感触がある。

 尻穴は許容量をオーバーしているような感触があるが、強い締め付け快楽を生んでいる。

 男にも尻穴は付いているわけだ――そりゃあ、御稚児さんなんて存在もできるものだ。

 もちろんその手の趣味はないが、師匠の尻はまた別腹だ。


「フッ」

「おヒッ❤」


 腹側を削るように突けば、師匠が生き返った。

 壁側の方が感度がいいのは、指でほじった時に把握している。

 リズミカルに。腹と亀頭子宮を揺らすように突いてやれば、師匠が首を振って、手指から逃げた。

 そして、のけ反りを堪えるように、肩甲骨を浮かせるほどに力を込める。

 尻肉もギチリと締まった。

 まるで括約筋ピストン運動を止めるかのように、

 まるで無駄な反抗をしている。


「ッ」

「イ゛ぁっ❤」


 子宮を裏から小突けば、食いしばっていたのであろう口が開き、叫びが漏れた。

 意識の防御を固めさせる間を与えず、連続で、腸液をかきだすように、ごッ、がッ、と。


「あがッ❤ あ゛ァ❤ けちゅあなッ❤ ごわれるッ❤」


 後ろから抱き付き、顎を抱え、暴れる長耳を噛む。


「うぁ❤ イ❤ みみ❤ がぁあ❤ やめっ❤ 抜けっえぇ、えぇぁ❤ やめっ❤ しりあにゃでイぐっ❤ やぁっ、が❤ じぎゅッ❤ うらか゛らぁッ❤」


 尻肉を、腹肉で打って波打たせる。


「とけゆっ❤ なくなるゥう❤ なくなるっ❤ おちっ、おちるぅ❤」


 きつく。強く抱きしめ、そして、


「あっ、づぁ、あ゛ぅああおああああああああああっっっ❤❤❤」


 尻肉が弾けんばかりに、強く打ち付けて、奥に押し付けて、射精した。

 身の下で、師匠が痙攣する。

 大人しく射精を受けろと、獣欲のままに体重で押さえつけて、腸内に吐き捨てる。

 痙攣が弱々しくなったので、気合いを入れろとクリトリスを詰まんで捻れば、逆に緩まった。

 クリトリスを捻る手指に、あたたかな水流がかかる――俺のベッドが。クソが。

 言葉通り、師匠は完全に蕩けている。

 気持ちよさそうに、あぁ、と、呆けた顔で嘆息しながら、震えている。

 身を起こすが、師匠は意識を半分飛ばしたままだ。

 ゆっくりと引き抜いて、腸液精液に塗れた男根を、口元まで持っていく。

 尻穴が開きっぱなしだ。呼吸に合せて精液を噴き出しているが、それを堪えるほどの意識もないらしい。

 ややあって、何を求められたのか、察したのか。師匠は舌を伸ばし、ちろり、と亀頭を舐めてきた。

 腰を進めて、口の中に含ませる。

 当然。まだまだ収まるわけもなし。

 改めて時計を見てみれば、ようやく26日になったところだった。




/




 ――新年あけましておめでとうございます。

 そう挨拶すると、竜双子様は酒で真っ赤な顔で笑った。

 話によるとクリスマスから飲みっぱなしだそうで、大丈夫なんですかねとしか言えないわけだが。

 酔っ払いに絡まれたくはないが、それを態度に出せば不遜だ。

 失礼にならないよう、早めに話を切り上げて、辞そうとしたところで、竜田様から声がかかった。

 酒にやけたがらがら声で、にやにやとした笑いであった。


「ところで、ちょっと聞きたいんだけどさ。どうしたんだ、その頬は?」

「…………師匠に」

「そうか、伊達男に、なったじゃん、か、くっく、くくく……ははははははは!!! うわははははははっはははははは!!!!」


 ためらいつつも白状すれば、竜田様がげらげらと笑った。

 今現在。俺の左頬には、裂かれたような傷が残っている。

 師匠にビンタされて首の骨が逝きかけたわけだが、当然表皮も大変なことになり、その結果である。

 ひとしきり竜田様は笑い、涙をぬぐい、それから、思い出したように付け加えた。


「それでな、あーっと」

「はい、なんでしょう」

「服はどうだった? 種類な」


 ――種類。

 確かにと言うべきか、箱の中に、あのミニスカサンタ以外が入っていても、まあおかしくはない大きさだったが。

 言うのもなんだが、ダウンした師匠を見られたりしているし、そもそも服を贈ってくださったわけだし、伝えないのも失礼か。


「……ミニスカサンタでしたが」

「肩出てる方か?」

「……ほかにもあったんですか」

「そーかそーか。よーくわかった。ありがとう」


 竜田様は、にっこりと笑って、俺の背中をばしんと叩いた。

 ――空を飛ぶ。

 背後から、イエーイやっぱりアイツ半端にヘタレやがった――!!! とか聞こえてきたが。

 聞こえなかったことにして、着地に集中することにした。




/




『親愛なる大平原へ

  メリークリスマス。

  たまには弟子を労えよめんどくさがられるぜ(もう遅いか)。


  恥ずかしがってたらケイちゃんに盗られますよ?


    お前と違って山と谷間の双子より』