エロ率分析 (α)

〜分析結果サンプル〜





 ここ最近、ボクは晴彦さんのベッドに潜り込むのが日課だった。でも、今日は目一杯オシャレをしていて、お化粧とかも崩したくないし、ひざ枕で我慢してもらおう。

 気付かれないように枕をズラして、お姉さん座りで崩した太ももの上に晴彦さんの頭を納める。

 左の太ももに晴彦さんの首を乗せて、脹ら脛と右の太ももで頭を支える。

 ボクは左手を突いて、晴彦さんの顔を覗き込んで、といっても左半分は胸が乗ってるから見えないんだけど、空いた右手で髪の毛を撫でる。


「えへへ。」


 おっと、子供っぽい笑い方になっちゃった。


「ふふ。」


 こっちこっち。この笑い方。こういうのを一つずつ覚えて、対応していこう。人前で、晴彦さんの隣にいられるためにね。

 今日は、晴彦さんが恥ずかしいって思わないように、思いっ切りお姉さんになるんだ。ボクって、自分で思っているよりずっと清楚系に見えるらしいから、もっとずっと清楚っぽく見えるように頑張るんだ。


「は・る・ひ・こ・さんっ♪」


 鼻の頭を突くと、擽ったそうにムズムズさせる。


「起きてくださいよー。」


 肩を揺する。


「……ん、あ。」

「晴彦さん。」

「ああ、……おはよう。う?」


 そこには、起きぬけに信じられないものを見たとでも言いたそうな、固まった晴彦さんがいた。


「おはようございます。」

「ああ、ああ。おはよう。……結菜、か?」

「そうですよ?」


 ふふ、おかしな晴彦さん。

 ボクは、晴彦さんが起き上がるのを手伝う。


「その恰好、、、いや、ビックリして直ぐに目が覚めたよ。……凄く、綺麗だ。」


 そう言って、晴彦さんがそっぽを向いた。

 やった。

 今のボクが、晴彦さんのど真ん中なんだ!


「晴彦さん。」

「……なんだ?」

「ボクを、見て。」

「え。」

「晴彦さんの、結菜ですよ?」


 ガシッ。きゃあっ。


 晴彦さんが、急に肩を掴む。


「……先に、朝ご飯にしてくれ。」


 その後は、お出かけですよ?


「はいっ。」


 ボクはくるりと回って、後ろを向く。

 そして、後ろに下がって晴彦さんに、背中を押し付けた。


「抱きしめて。」


 少し強く、抱きしめられた。

 ふふ。いつも、これくらい強く抱きしめてくれてもいいんだけど。


「ね? あなたの結菜でしょ?」


「ああ。」

「そうだ、晴彦さん。」

「なんだ?」

「実は、昨日で生理も終わりましたよ?」


 ピクッ、とお尻に押し付けられていた硬い物が反応した。


「今、確かめても良いのか?」


 冗談めかした言い方だけど、すでにおっぱいは揉まれてる。


「デートの後、ね? ね?」

「あ、ああ。」


 ボクも、今週の頭からずっと、待っていたんですから。


「朝ご飯、用意してきたいのですが。」


 モミモミ。


「あっ♡ 朝ごはんー。んっ♡」


 くんくん。

 あっ、嗅がれてる。


「晴彦さん? っ♡」


 晴彦さんの右手が下に伸びる。

 そして、スカートの上から確かめられる。もーデートの後でって言ったじゃんかー。

 でもゴワゴワしてないでしょ?


 晴彦は知っている。

 男の人だって、ただ女の人をイカせたいって思う。自分が気持ち良くなくても、思い通りに乱れさせたい。

 それを、いつでも出来るなら、それほど魅力的じゃない。けど、触らせてもらえなかった。

 だから、ボクがどんなふうにイクのかを想像するだけで、晴彦さんがおっきくなっちゃう。


「結菜、今日はずいぶんと印象が違うね。」

「晴彦さんは、こういう恰好の方が好みですか?」

「……どうかな。」


 なんて言ってごまかして。晴彦さん、身体は素直ですよ?

 やっぱり、いつものボクじゃ、若すぎるって心のどこかで思っていたんじゃないですか?

 でも今日は、少なくとも見た目だけは5~10歳くらい年上に見えるように頑張ったから、ちょっとは晴彦さんに近付いたハズだし、安心できるでしょ?


「ふふ。……そろそろ、朝ご飯にしましょうか?」


 ボクは、着崩れないように身体を弄ってくれた晴彦さんってやっぱり優しいな、なんて思ったりして、ちょっとバカップルっぽいなって嬉しくなった。


「ああ。」


 頷いているのに放す気は無いみたい。ボクも離れる気なんて無いから、晴彦さんが満足するまで腕の中に収まる。


「……もぅ。」


 数分か、それくらい経って腕が解かれて、ボクはサンドイッチをテーブルに並べてエスプレッソを淹れる。何度かコーヒーを淹れさせてもらっているから、晴彦さんも安心してボクに任せてくれるようになった。

 エスプレッソメーカーを持って晴彦さんの向かい側に座る。

 ボクは、遅れてテーブルに着いて、モソモソとサンドイッチを頬張る晴彦さんが、クマさんみたいだなーって微笑ましくなって、それを眺めてしまう。

 ふふ、可愛い。


「……結菜は、食べないのか?」

「お化粧が崩れてしまうので、朝ご飯は家で済ませて来たんです。」

「そうか。」

「でも、コーヒーはいただきますね。……サンドイッチ、美味しいですか?」

「美味しいよ。どうやると、こんなふうになるんだ?」

「パンに薄く、マーガリンを塗るんです。あとはレタスの水気はキッチリ除いています。シャキシャキさせたいんですが、サンドイッチの最大の敵は水分なんです。」

「ふぅん。」


 ボクも、コーヒーを飲もう。

 ああ、良い香り。

 そして苦い。

 ボクは晴彦さんと、まったりとした時間を楽しんだ。



   *** ***



 キィイイインッ。


「よい、っしょ。……ハイ。取れましたよ、望月さん。」


 いつもの無愛想な30代の先生じゃなく、40~50代くらいの太っちょな先生が処置室でギプスを取っていた。いつもならレントゲンを撮ってから、診察室で晴彦さんは一人だけで診察を受けるけど、今日はレントゲンの後、処置室にボクも入ってギプスが取れるのを見ている。

 だって、処置室の外に待合用のベンチとか無いからね。


「おお、軽い軽い。ありがとうございます、先生。」

「いえ、それより、やはり随分治りが早いですね。先週今週とレントゲンを撮りましたが、脚は完治していると言って良いでしょう。今直ぐに飛び跳ねても大丈夫でしょう。それと、腕もほとんど繋がっています。予定通り来週末にはギプスを取って、そのまま逆立ちをしても痛むことは無いと思います。」

「そうですか。」

「……奥様ですか? 若くて綺麗な方ですねぇ。」


 にっこり。

 まるで言われ慣れているという笑みを、ちゃんと浮かべられたかな?

 奥様! ボクは奥様って言われて心臓が跳ねるほど嬉しいんだけど、今日は晴彦さんのためにもっとお姉さんな対応をしたい。

 いつもとは違うんです! というところを見せてみたい。


「それで、主人の右腕ですが。」


 晴彦さんは、ボクが主人と言ったことに動揺したのか、こっちを振り向いた。

 ボクは冗談めかして、悪戯っぽい笑みで返す。


「ええ、今日からは吊らなくても大丈夫でしょうね。まあ、周囲の人もギプスをしている人が普通に腕を使っているように見えたら違和感があるかも知れませんが、もともとご主人はシーネでも良かったところを体重面などが気がかりでギプスにしたようですし。」


 前の無愛想な先生は、対応も淡泊な代わりに、ボクにも何の興味も無さそうだった。少なくとも、そんな視線は感じなかった。

 けれど、こっちの先生は随分とえっちな視線をボクに向けている。この先生にとっても今のボクはめちゃくちゃストライクなのかな。顔にも胸にも腰にもお尻にも脚にもすべて、ネットリとした視線を感じている。


 ボクも、もう割りとこういう視線に慣れちゃったんだよね。自分が女だということを意識させられるんだけど、そんな視線を向けても晴彦さんしか手に入れることは無いんだよ? って思うと、頭の中でボクを裸に剥いている人たちが少し可哀相。

 それなら、ボクは恥ずかしい恰好をしているわけでも無いし、見ている人は、まさかボクが視線に人の何倍も敏感なんて思ってもいないだろうし、それに、ボクだって見られ慣れているから良いだろうって、無遠慮にジロジロ見られるのも許しちゃおうかなって。

 結局、触れられるのは晴彦さんだけだし、痴漢とかで無理矢理触れようとしてくる人の視線の種類も、何となくわかってきたから避けられるし、ちょっとずつ見たければ見れば? って思うようになっている。


 360°希埼 結菜に死角は無いんだから。


「そうですか。」

「ええ、今日はこれでお終いです。」

「ありがとうございます。」


 晴彦さんとボクは処置室を出て、いつも通り受付に行く。

 ちょっと前まで、ボクは晴彦さんの臨時の杖代わりだったし、鞄を持ったりしていたけれど、もう必要無いみたい。

 それがちょっと寂しくて、ボクはお会計を済ませる晴彦さんのシャツの裾を弄る。


「……結菜?」

「あ、終わりました?」

「ああ。」

「そうですか。これで、来週末に腕のギプスが取れたら全部終わりなんですよね?」

「らしいな。」

「じゃあ、来週はお祝いですね。」


 そんなことを話しながら、病院を出た。先週までは、ここでタクシーに乗って帰っていたけど、今日は違う。

 歩いて、駅に向かっている。


 ようやくデートなんだ。

 晴彦さんの腕とボクの腕を絡めて歩く。

 風が気持ちいい。

 空の、高いところに雲がある。


「晴彦さん。」

「ん?」

「このあと、街まで出たらお昼ご飯を食べて、それから晴彦さんのお洋服を選ぶ予定で、合ってますよね?」


 晴彦さんの恰好は、腕まくりしたカラードレスシャツにオシャレネクタイ、パンツはジーンズしかなかったから、一番落ち着いた深い色合いのものを選んでもらった。パンツにシャツは入れてもらっている。カジュアルな革靴は持っていたので、それを履いてもらえば、割りとオシャレな感じにまとまった。むしろ、自分が持っている服だけで頑張ればオシャレが出来るのかとビックリしていた。


「ああ、結菜は食べたいものとか、何かあるかい?」

「食べたいものですか? えっと、あ。晴彦さんは、ありますか?」

「俺は、何でも良いよ。結菜、どこか行きたいところがあるなら、そこにしよう。」

「ありがとうございます。」


 晴彦と結菜の記憶を合わせると、街の色んなお店をピックアップできる。ボクは、割りと色んな美味しい店に行ってみたかったけれど、高校生だし行けない所の方が多かった。

 美味しいと噂のイタリアンやフレンチ。

 高級ハンバーグ店のお昼のお安いランチメニュー。

 お寿司屋さんの、お昼の海鮮丼。

 カフェのオシャレなデザート。

 ベジタリアンのためのカレー。

 行列の出来るラーメン店。

 ステーキハウスのオリジナルバーガー。

 ベーカリーのイートイン。

 スイーツとかフルーツのビュッフェ。

 晴彦さんの好みも考えた、最大公約数を求めて選択する。


「どこにしましょうか。」


 ボクが、探るように上目遣いで見詰めたからなのか、晴彦さんは一瞬たじろいだ。


「あ、んまりオシャレじゃないところ、の方が、良いかな……?」

「ふふ、わかってますよー。」


 何だかんだと話しているうちに駅に着く。

 改札を抜けて階段を上がる最中に、快速電車が滑り込んでくるのが見えた。

 でも、晴彦さんはボクがヒールを履いているのを知っているから急がない。

 そういうときに運は良い方に傾くから、たっぷりと時間をかけて上がっても快速電車はそこにいて、ボクたちは最後尾の車両に乗ることが出来た。これですっごく短縮できるから、二駅で目的地だ。


「間に合いましたね。」

「お昼までは、割りと運が良いんだよ。特に最近は。」


 あ、それ。

 たぶんボクと一緒にいる効果だ。

 えへへ。ボク、晴彦さんの役に立てていたんだね。


「そうなんですか?」

「こうして快速に乗れたろう?」

「そうですね。」


 ボクたちが暢気に話していたら、発車ベルが鳴り終わるまでの短い間に何人か階段を駆け上がってきて押される。


「晴彦さん、こっちです。」

「ん、ああ。」


 休日に、街に出ようっていう人は多くて、戸袋の近くのバーに掴まっていたのに、後から駆け込んできた人に押しやられて、いつの間にか最後尾車両の隅の隅、吊り革も何も無い角まで来てしまった。

 ボクは晴彦さんのシャツの前の部分に、しがみつくように掴まって、身を寄せている。というか、ボクは晴彦さんに角まで追い込まれたみたいになってる。晴彦さんが蓋になって、ボクの姿は他の人からは見られない。

 晴彦さん、おっきいもんなー。縦にも横にも奥行きも。


「あはは。結構、混みますね?」


 晴彦さんは、ボクが押しつぶされないようにしてくれる。

 そして、電車はゴトリと重い腰を上げるような音を立てて動き出す。


「んっ……。」


 吊り革もないから角に背を凭れてバランスを取ろうとするけれど、ボクは履きなれないハイヒールだから、時々体勢を崩しそうになる。

 そのたびに晴彦さんにギュッとしがみ付いちゃって、申し訳ない気もするし、間違って足とか踏んづけないように下を見たいのに、そういう時に限って人の波がボクの方に押し寄せてたりするからよく見えない。足場が分からない。


「足、踏んづけちゃったら、ごめんなさい。」


 ボクは、ほとんど真上にある晴彦さんの顔を見上げる。


「大丈夫大丈夫。」

「うぅ……。あ、でも、そうです。踏んづけちゃったら、、、その、お仕置きに追加しても、いいですよ?」


 晴彦さんの顔が高いところにあるから、どうしても上目遣いになっちゃう。


「ああ、、、わかった。」


 ? なんだか歯切れが悪い。


「あの、ボクって、今、2個ぐらいお仕置きが溜まってると思うんです。」

「? そうだっけ。」

「え、、、あ、はい。そうなんです。……それで、お仕置きって、何をされちゃうんですか?」


 これは、どちらかというとボクの方が期待している。

 晴彦さんにお仕置きされたいって、どんなお仕置きされちゃうんだろうって、すっごく妄想した。


「……あー。」


 あれ? もしかして、これは。


「もしかして。」

「うん。何も考えてなかった。というか、覚えてなかった。」


 あ、はい。ボクだけが舞い上がってたパターンですね。

 晴彦さんも意地悪でお仕置きなんて言ったけど、本当に何かする気なんてなかった。

 あの時はそう言った方がよかったから、言っただけ、かあ。


「……まあ、でも、そうか。お仕置きね。お仕置き。」


 そう言って、晴彦さんは意地悪な笑顔になる。


「結菜は、どんなお仕置きがいい?」

「え?」

「結菜が、お仕置きされたいんだろう? なら、俺が考えるより、結菜が恥ずかしいと思うことや、無理目なことをお仕置きにしようか。」

「え。」

「ああでも、やってみて俺が納得できなかったら、別のでやり直し、なんてどう?」


 それは鬼畜すぎですよ♡


「はいっ。それがいいです。」


 ガタン。


 ぎゅ。


「あっ、ごめんなさい! 踏んじゃいました。」

「ああ、だから大丈……夫。」


 うん?


「だけど、痛かったし、お仕置き一個追加だね。」


 はいっ♡

 ボクが考えて、晴彦さんにしてもらわないといけなんだよねっ。

 じゃあ、こういうのはどう?


「晴彦さん♡」

「どうした?」

「触って♡」

「え?」

「最初のお仕置きは、晴彦さんに――」


 ボクは、ぐーっと背伸びしても届かない晴彦さんの耳許まで唇を近づける。


「――痴漢して欲しいな♡ なんてね?」


 だって、最後尾の混んでいて誰からも見えない隅っこでしょ? 晴彦さんがガードしてくれるなら、何をしてても誰にも気付かれない。

 晴彦さんのAVコレクションにも痴漢物も混ざっていたし、安全にできるなら、やりたいでしょ?

 ボクもボクで、だんだん晴彦の記憶も思い出しやすくなって、ちょっと大胆になってきてる。結菜的には何もかも初めてだから、興味津々な怖がりなんだけど、晴彦さんとならエッチなことを、もっとしたいって思ってる。

 怖々尻込みしてる結菜の手を、訳知り顔の晴彦が引っ張って行くようなイメージ。


 だから、顔が熱くて真っ赤なのはわかるけど、大胆なことが出来てしまう。これは、晴彦の感性で言えば、一番エロくてそそられる仕種なんだ。自分に近付くために、頑張ってエッチになって来ているって感じるから。

 まあ、ボクの場合、分業でズルしてるんだけどね。結菜だけじゃ、そもそも晴彦さんの家に上がり込むのも出来なかったと思うし。


 ともかく、ボクは晴彦さんの左手側にお尻が来るように横を向く。

 ギプスが邪魔で、アソコに手が入らないなんて、、、あ。


 今日、ストッキング穿いてた。

 あれ、どうしよ。っていうか痴漢物だとストッキングは破かれちゃうんだよね、普通。


 さわっ、もみっ。


「あっ♡」


 お尻とおっぱいを同時に触られる。


「本気か?」

「うん♡ 晴彦さんは、恥ずかしい?」


 もう、さっそく揉んでるくせにね。

 でも、こう言えば、恥ずかしいなんて言わないからしてくれるでしょ?

 ぐいってお尻を掴まれる。


「バレたらどうするんだよ。」

「バレないですよ? 晴彦さん。」


 おっぱいは、ブラウスの上から揉むしかない。しかもキャミソール越しだ。それと右手だとまだ揉み辛いし、割りと強めに揉まないとブラジャーが邪魔だから、そのうち右手も下を責めてくれるって信じてる。クリトリスくらいなら、ボクはお尻を引っ込めないから届くでしょ?


 晴彦さんは、こういうとき意地悪をするって知ってる。まあ、意地悪というか、ねちっこい。

 お尻は、掴まれたり揉まれたりしていたのに、いつの間にか撫でられている。

 スカートの上から撫でられる、というか、手の平をお尻に這わせて持ち上げるように、押し上げるようにして、そして手を滑らせる。反対にお尻はストンと落ちて、プルンと揺れる。

 そうやって、持ち上げては落としてを繰り返して、少しずつ奥に手を入れていく。

 一度目より二度目、さっきより今度の方が、より深くアソコに指が潜り込んで来る。

 中指が、お尻の割れ目に沿っていて、深く潜り込んだ中指が、お尻の間をなぞる。


 ああん、でも。


 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

 ストッキングなんて穿いてきちゃって!


 申し訳なさすぎるんだけど、気持ち良かったら言えって前に言われてるから、ボクは晴彦さんの顔を見て、言わないといけない。


「はる、ひこ……さん。気持ちいい、です♡」


 でも本当にごめんなさい!

 ストッキングを穿いているから、ただでさえショーツを食い込ませ辛いのに、大変だよね!?

 ストッキングって、極論しちゃえばスッゴく薄いズボンだから、ショーツと違って横に引っ張られちゃうような張りがある。食い込ませようとお尻の間を指でなぞると、ショーツは食い込んで残る。その上のストッキングはなぞった端から元に戻っちゃう。

 その押し返しで、ショーツだって一定以上は食い込ませられない。


 ボク、いつもみたいに靴下を穿いてるって誤解してた。

 ああもうっ、なにやってるんだよボク!

 これじゃあ晴彦さんが楽しめないじゃんか!


「……。」


 晴彦さんは痴漢さんに成りきっているのか、黙ってボクを触り続ける。

 そして、スカートをたくし上げ始めるんだけど、あああああもうっ、ごめんなさい!

 スカートも膝下まであるから、たくさん持ち上げないとストッキングにすらたどり着かないし、前後から捲ってスカートがダブつくなんて、プレイ的には興ざめだよね!?

 もうっ、ボクってば、晴彦さんと会ってるときは制服が多かったからって、今の服装くらい見直そうよ!


 痴漢プレイなのに、ボクが余ったスカートを持って、アシストしてるじゃん!

 なにこれ!?


 ――ガタン。プシュー。


 !?


 矢庭に騒がしくなる。人の息や声が聞こえる。

 電車が停まったんだ!


 ぅわあああああああああああああ!


 ボクからじゃ外がどうなてるかなんて見えなかったって言うか、喘ぎ声とか出しちゃったら――


 くちゅ。


「――っ♡」


 晴彦さん!?


 ぐに、ぐり。


 あっ♡ はっ♡

 左手で、アソコの入り口を押されてる!?

 入り口の周辺をぐりぐりと解すように動かしてる?

 時々内に入れようとグイグイ押し込んでくる。


 あっ♡


「っ♡ っ♡ っ♡ ~~~~っっっ♡♡♡」


 い、、、まは――っっ♡♡ ダメぇっ♡


 くりっ。


「ぃっ♡」


 クリトリスも!!??


 あっあっあっああ~~~~っっっっ♡♡♡♡


 声が出ちゃうじゃないですかあっ♡♡♡♡


 プシュー。……ガタン、ゴトン。


 う、動き出した!


「っぅhぁああっっ♡♡♡♡」


 胸に溜まってた息を吐きだした。

 キッて睨んでもニヤニヤしたまま、おまんこの入り口をぐりぐりしてるし♡ クリトリスも弄られてる♡♡


 あっ♡ そこ、きもちーよ♡


 もうっ♡ ボクも大概変になっちゃったじゃんか! あっ♡


「ふ♡ ん♡ んっ♡ っ♡」


 今更だけどオナニーも出来なくて、ボクもおかしかったんだよね多分!

 こんな人目に付くようなところだけど晴彦さんの身体がガードしてくれるし、ちょっと声を出しても快速の電車は煩いから大丈夫とか思っちゃったんだ。


 だけどこんなの自分からして欲しいなんて変態だよ露出狂だよでも気持ちいんだよ!


 あ、んっ♡


 電車が揺れるときに、不意打ちみたいに強めに指が押し込まれたり、擦ってきたり。

 支えがないから逆に押しつぶされちゃいそうになるんだけど、密着できて幸せだし。

 脚なんてもう震えっぱなしで、晴彦さんの手で支えてもらってるような気もするし。

 気持ち良すぎて息がし辛いような気がして、上にある晴彦さんの顔をなんでか見ちゃうし。


 あっ♡


 晴彦さんの指が早くなったような?


 んっ♡


 晴彦さん、そこはもう十分解れてますよぅ♡


 あっ♡


 あっ♡


 あっ♡



 ――――あ。イク。



 心臓から、息が漏れたような気がした。――から歯を食いしばる。



「~~~~~~~~~~~~っっっっっっっっっっっっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」



 ボクはガクガクと脚を震わせて、崩れ落ちないように晴彦さんにしがみ付く。






 ガタン、ゴトン。






 ガタン、ゴトン。






「はぁーっ♡ はぁーっ♡ はぁーっ♡」


 幸いにして、目的の駅までまだまだ時間がかかるみたい。

 これなら息を整えて、脚もフラフラしない程度には回復するかな?


「まだ、一回しかイッてないよな?」


 ――――!?


「ゆ、ゆるして……♡」

「これだけじゃ、お仕置きとして足りないよな?」

「は、い♡ ……今夜、ボク、頑張りますから♡」

「わかった。」


 ボクは優しい晴彦さんにしがみ付いて、駅に着くまで休ませてもらった。



   *** ***



   *** ***



「……てくださいよー。」


 肩が揺すられる。


「……ん、あ。」

「晴彦さん。」


 ああ、ああ。

 頭がぼやけてやがるが、あれだ。

 結菜が起こしに、


「ああ、……おはよう。う?」


 結菜……?

 だよな?


「おはようございます。」

「ああ、ああ。おはよう。……結菜、か?」

「そうですよ?」


 前に、結菜は完璧に俺のストライクゾーンど真ん中だと思ったこともあった。

 確かに、美少女として見れば、ストライクゾーンど真ん中だったと思う。


 でも、まだまだ美女じゃなかった。

 幼さが前面に出すぎていたと思う。


 今、目の前に本物の美女がいる。

 黙っていれば儚げで怜悧で、話せば人懐っこさと明るさと、柔らかさと少しの母性と悪戯っぽさと、蠱惑的で大胆な結菜は、美少女だった。


 化粧で化けるものだ。

 幼さを残した新人OLの瑞々しいエロさ。

 吸い寄せられて、手に入れたい衝動に駆られるエロさ。


「その恰好、、、いや、ビックリして直ぐに目が覚めたよ。……凄く、綺麗だ。」


 本心が漏れた。



   *** ***



 結菜の仕種は一々大人びるように頑張っていて、元々楚々としていたのがより強調されている。俺みたいに普段の結菜を知らなければ気づけないようなそれに、少し優越感を覚えている。

 そんな結菜は、まるで着飾ったOLみたいな恰好で、背伸びして俺に近づこうとしてくれている。

 そんな気遣いが見え隠れするから、俺のプライドも満たされる。

 結菜は、俺といるときに女子高生でいたくないと思ってくれている。

 それが勘違いでも構わない。

 俺だからこそ、背伸びして着飾ってくれるんだと思わせている結菜は、すごく愛おしい。


「晴彦さん♡」

「どうした?」

「触って♡」


 そんな結菜は、淑女のコスチュームで娼婦のような淫らなことを言う。

 結菜にはお仕置きをしないといけない。特に、教材として俺が持っているAVを持って行った罪は重い。……うん。重い。

 はあ。知られたんだよな。

 ああ、お仕置きをしないとな。

 俺は無理やりでもAVを見られたショックを、お仕置きにはどんな意地悪をしてやろうかという考えで上書きする。


「え?」

「最初のお仕置きは、晴彦さんに痴漢して欲しいな♡ なんてね?」


 結菜は背伸びして、秘め事を囁くようにお仕置きをおねだりする。

 ずいぶんと大胆なおねだりに、俺は周りの人間とか公共の場だとか、俺がいい大人だということとかすべてを忘れて、結菜をお仕置きすることにする。


 だって、新人OLを痴漢する機会なんて、これを逃したら一生来ないかもしれない。


 早速とばかりに身体を横に向けて、両手で痴漢しやすい向きになったから、お尻を触って胸を揉む。


「あっ♡」

「本気か?」

「うん♡ 晴彦さんは、恥ずかしい?」


 すでに喘いでるやつが何言ってんだ?

 だが、その口車には乗ってみる。


「バレたらどうするんだよ。」

「バレないですよ? 晴彦さん。」


 最後尾車両の隅。俺が壁になって結菜がさらに奥にいることをわかる奴なんていないだろう。

 せいぜい、俺が隅の方を向いてじっとしているのが不気味だ、くらいの印象しか抱かれないだろうさ。

 じゃあ別にいいか。


 結菜のおっぱいはブラジャーと下着と、その上のブラウスに遮られて感触が分かりづらい。

 これなら帰って直接揉めばいいし、痴漢って基本的に後ろからお尻を楽しむものだろ? とは思ったが、これはこれで、楽しんでおく。


 対して左手のお尻はスカート越しにストッキングを感じている。

 ストッキング。魅惑のベール。

 穿かせて良し、触って良し、破いて良し、それで扱かれるのも良いと言う、無駄らしい無駄がない。

 指で押してもストッキングだけ突っ張るから、パンツだけがお尻の割れ目に食い込んでいく。

 その不思議な感触のギャップを楽しむ。


「はる、ひこ……さん。気持ちいい、です♡」


 俺を見上げてくる結菜は、どうしてか済まなそうな顔をしている。

 なんでだろう。

 新人OLに痴漢するプレイとしては、これ以上ないくらい完璧なコスチュームで、しかも、、、ああそうか。

 このストッキング、代えがないから破いてもすぐに交換ができなくて、できれば破いて欲しくないって、思ってしまったからか?

 俺としても、電車内で結菜のマンコに直接指を突っ込む気はないから、気にするなよ。

 とは、言わない。


「……。」


 俺は、結菜の長いスカートをたくし上げて、ストッキングに直接触れる。

 結菜もノリノリだから、自分でスカートを持って、俺に痴漢させやすいようにしてくれる。


 ――ガタン。プシュー。


 途中駅に着いた。

 チャンスだと思った。


 結菜は、周りの状況を全く見ることができなかったからか、びくりと身体を震わせている。


 くちゅ。


「――っ♡」


 結菜から、我慢した喘ぎ声が漏れる。

 それは、息を詰まらせたように掠れた音。


 嗜虐心を煽られる。


 結菜が喘ぎ声を出さないように頑張ってくれるなら、俺は楽しんでも大丈夫だろう。


 ぐに、ぐり。


 結菜のマンコの入り口を解すように、揉みこむように弄る。


 結菜の身体は震えて、掠れたような喘ぎ声が聞こえるだけだ。


「っ♡ っ♡ っ♡ ~~~~っっっ♡♡♡」


 だから、追い打ちをする。


 くりっ。


「ぃっ♡」


 クリトリスも刺激して、前後から結菜を責める。

 それでも結菜は声を出さない。

 俺を非難しているくせに、潤んで欲しがるような視線。

 この顔が、そそる。


 プシュー。……ガタン、ゴトン。


 動き出すまで、結菜は我慢した。


「っぅhぁああっっ♡♡♡♡」


 そして、我慢していた息を吐きだす。


 次の駅までの間隔が短いことを俺は知っている。

 なにせ、いつも俺が通勤に使っている方向だ。

 ここまで出来上がった結菜を、このまま夜までお預けするのは流石に鬼畜すぎるような気がしているから、できる限り早くイケるように、俺は容赦せずに責め立てることにする。


 結菜の反応を見て、どこが一番気持ちがいいか探る。


 ここか?


 いや、この刺激か?


 ぐりぐりと弄る中で、特別反応が良い所を執拗に責める。





 ――ふと、結菜の身体が軽くなった。





「~~~~~~~~~~~~っっっっっっっっっっっっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡」




 一瞬の静寂のようなものがあって、そして今まで我慢していた堰を切るようにガクガクと震える。

 身体はまた強張って、息は浅い。


 しばらくの間、電車に揺られた。


「はぁーっ♡ はぁーっ♡ はぁーっ♡」


 ようやく結菜が声を出して息をし始めるようになって、話せるようになったと思ったから、また意地悪をしたくなった。


「まだ、一回しかイッてないよな?」


 わかりやすくビクッと反応する。

 なぜかまた、マンコが熱くなって濡れる。


「ゆ、ゆるして……♡」

「これだけじゃ、お仕置きとして足りないよな?」

「は、い♡ ……今夜、ボク、頑張りますから♡」

「わかった。」


 やっぱり、このお仕置きシステムだと、俺が無限に得をする気がするんだが、結菜はそれが良いんだろうな。

 しばらくの間、結菜が俺にしがみ付いてだらしなく笑いながら、好きだとかなんだとか言ってくるのを聞いていたら、目的地に着いた。


 うん。


 デートも始まって間もないような段階で、これはひどい。

 結菜が可愛いからやりすぎた。

 むしろ、結菜にとってもご褒美というか、望んでこうなったのだとしたら、俺に意地悪をされたい結菜の策にしっかり嵌ったってことか?


 まあ、何でもいいか。








~to be continued~