〜分析結果サンプル〜
「ぁふ……。」
ボクは幸せいっぱいに包まれて朝、目を覚ます。
ほとんど何も考えず、ルーチンワークになっている朝のアレコレを済ます。少し、身体が火照っている。昨日あんなことがあったからかな? なんて思ってみたり。
さて、身体も解れたし、小テストに必要な知識が詰め込まれてるのも確認した。オープンアクセスの面白い論文もいくつか読んだ。ちょこちょこ、訳しはじめてる。
そしてボクはお父さんが起きてくるより早く、家を出る。いってきまーす。……やっぱり、少し後ろめたい。というか、ボクが家を早く出るようになって、いよいよお父さんともあまり顔を合わせなくなってきてる。
うん。凄く不信感を煽るよね。だってもうしばらく、お父さんの朝ごはんも、お弁当を作ってない。これは早いところ成果が無いとマズイね。
色々バレちゃう。
勉強は驚くほど捗ってるから、時間を先延ばすことを……ううん、違う。
ボクに足りないのはそんな事じゃない。
明確なビジョンだ。
アレもコレも望むなら、どれにもゴールまでのルートを与えられないとダメだ。
目的に優先順位をつけるなら、一番は晴彦さんと将来一緒に過ごすこと。
それを支えるのは、ボクの自立までの道のり。
ボクが持っている武器は、顔と身体と頭。
そのうち使いたくないのは身体。
例えば板橋さんを頼ってグラビアアイドルになるとか、ヤダ。
出来れば在宅勤務で自立したい。
内職?
パソコンを使ってメールでやり取り出来る仕事?
デザイン系? ボクは、それは無理じゃないかな。
それ以外だと、うーん。
ボクが得意なことと好きなこと。
晴彦さんの知識があるから、理系よりの内容ならよくわかる。高校の授業なら英語が楽しい。
……翻訳や通訳、とか?
いやいや。翻訳の仕事って大変だよ? コネとか知名度とか。
あと通訳って在宅じゃないし。
でも今なら挑戦できる。
それに、ネット社会でSNSとか宣伝できるツールを最大限活用出来れば、知名度ゼロからでも一発狙えるし。
顔、かあ。
お父さんめっちゃ怒りそうだなあ。
晴彦さんと一緒になりたくて、自立の道を模索して、インスタとかツイッターとか使って自分を宣伝して、知名度を上げて、、、で、お父さんを怒らせてこんがらがる。
本末転倒だ。
っていうかボクも普通に、にこるんとかペコちゃんみたいになりたいって思ってたんだ。
でもボクの目標は、ファッションモデルじゃないし。
翻訳、だけじゃインパクトも無いし即効性がない。ニッチを攻めつつ、みんなが必要だと思ってた足りない部分を埋めるのが大切。
理系知識で、翻訳の仕事に活かせそうなこと。
うーん。
この際、情報は新しくなくても良いんじゃないかなぁ。
と、すれば。
最新の科学の情報サイトとか? 目指す先はレビュー論文よりちょっと柔らか目くらいの感じで、ゆるふわ。海外の情報サイトを劣化して翻訳しただけのまとめサイトとは一線を画するような。別に、毎日更新しなくてもいいし。大学の教授さんとかブログでけっこう書いたりしてるけど、それってネット全体だと散文的でまとまってないし目につかない。そういう有益な情報をただで流してくれてる人達のリンクもまとめたい。
ボクのフルスペックなら、できるかな。
ただ、宣伝はどっちかというと、論文を読む女子高生みたいなイメージ戦略。そっちはどんどんやる。
ツイッターではどんなトピックを取り上げるか告知して、インスタではどんなふうに読んでるか写真を上げる。
それと、翻訳家への第一歩として、著作権の切れた小説の全文翻訳も掲載したり。
めっちゃ忙しそうだ。
けど、できないわけじゃない。
ボクが、今のボクのフルスペックで頑張ればやれない話じゃない。
やるかー。
とすると、必要なものはタブレットPCだよね。論文読んだりするのに必要だ。
当ては、ある。晴彦さんが流行に興じて買ったはいいけど使ってない物があるんだ。
あれをボクに貸してくれないかなー?
なんて。
ピンポーン。
がちゃ。
ボクは小さな声で「ただいま。」って言って上がる。早めに用意しなくちゃいけないものをレンジにかけたり冷蔵庫から出して常温に戻す間、ボクはこっそり晴彦さんの寝室に入る。
いつもより静かに入ってきたから、晴彦さんは目覚めていない。
そんな晴彦さんの寝顔を覗き込んで、ボクは考える。
このまま女性として生きていくかどうか。結論は出てるけども。
この一週間、結菜の感情に手を焼いて、どうにか形を保って過ごしてきた。
わかったことは、ボクには大なり小なりナルシストの気質があった、ということだ。
そうじゃなきゃおっきな晴彦さんをしゃぶるみたいな、セルフフェラみたいなことを出来るとは思えない。いくら結菜の感情が晴彦さんを受け入れていたとしてしても、晴彦が生理的に受け付けられないことを克服できるほど、ボクは壊れてない。それに、ちょっとでもそういう自己愛があったから、晴彦さんも腐り切らず、諦め切らずに頑張れたんだとも思う。
だから、仕組みはさておき、ボクはボクに対する男性の性的な視線が気になるし、気持ち悪いって思う。
半分以上晴彦さんで出来たボクの意識では、晴彦さん以外の男性との性行為はホモセックスでしかない。
晴彦は、そっちには興味が無い。
晴彦さんとの性行為は、晴彦の中でかなり特殊なオナニーとして処理されてるんじゃないかな?
たぶん、晴彦さんは鏡に写った自分とキスできる。
身体が柔らかければ、セルフフェラもやってたかもしれない。
ボクの視界にボクは映らない。
目の前にあるのは晴彦さんの寝顔。
「ん……っ。」
ボクの髪の毛が零れるから、かきあげてキスをする。そのまま舌を入れて、晴彦さんの口腔を楽しむ。ねっとりした晴彦さんの舌に、ボクの舌を絡める。
ずっと見えているのは、見慣れた晴彦さんの顔。
それを見慣れたとボクの半分が感じて、もう半分がレア顔だーってはしゃぐ。
いつか、汗だくになった晴彦さんがボクに腰を打ち付けて漲らせた本能をぶつけてくるだろう。その時、ボクの視界には晴彦さんしかいないことになる。ボクは、ボクのことよりも強烈に、脳裡に晴彦さんの姿を焼き付けるようになる。
劣情という決して綺麗じゃない感情をぶつけられて、でもボクは、それを簡単に受け入れられると思う。
結菜にはそれが愛おしいハズだし、晴彦にとってそれはオナニーだからだ。
ある意味で、結菜が感じるよりずっと、晴彦はこの倒錯したシチュエーションに興奮しているのかもしれない。
だからか知らないけど、ボクは鏡に映る発情したボクに欲情できる。ボクはボクの顔を悦楽で歪めるために無茶をできる。
自分を晴彦さんに重ねているのかな。具体的な、性的な快感をボクは最近知りはじめたばかり。だってボクは処女だし。想像しやすいのは晴彦の記憶。
でも晴彦さんの乱暴な指が、あれだけ気持ち良いなんて知らなかった。晴彦さんが触ったこと無いところは弄ったことが無いなんて、ボクはクリトリスは先に自分で開発済みじゃん? 大嘘だよね。
どちらにせよ、晴彦さんに気持ちいいことを身体に覚えさせられたら、オナニーのとき、ボクは誰目線で何に自分を重ねて、弄るようになるんだろう。
「ん……ちゅ、っぷ。」
もぞもぞ。
ねえ、晴彦さん。
ボクは朝からこんなことを考えちゃう、えっちな女の子だよ?
起きて叱ったり躾たり懲らしめなくていいの?
ボクは冬服のジャケットを脱いで椅子に引っ掛ける。
ごそごそ。ぴとー。
布団に潜り込んで晴彦さんの左腕を枕にする。
晴彦さん、暖かいね。
「はぁ……♡」
晴彦さん……っ、かわいい♡
あ、これ。
ボクってばキスしてたらちょっとスイッチ入っちゃってるじゃん。
ダメダメ。
朝から晴彦さんの体力奪ってどうするの?
もうっ、静まりなさいっ!
「んっ……。」
あ、起きそう?
「おはようございますっ♡」
「……ん、、、おは、よう?」
晴彦さんは、ぼけーっとしてて可愛い。
「はいっ、おはようございます。晴彦さんっ♡」
「……結菜、おっぱいでかいよなぁ。」
「え? はい……そうですね?」
あれ、もしかして。
ネボスケさんじゃないですか?
「ほん、とうに。」
腕枕にしてた左腕がボクを巻き込んで、ぎゅーっと抱きしめられる。
腕がそのまま回り込んで、ボクのおっぱいを鷲掴みにする。
揉みやすいようにもっと腕を回すから、もっと抱きしめられて、ちょっと苦しいからボクは嬉しくなる。
「秋茄子。」
「なす?」
「食べたかったなぁ。」
もみもみ。
たぶん、晴彦さんは無意識に胸を揉むという癖があるに違いない。
間違いない。
「じゃあ今夜は茄子尽くしにしましょうか?」
「う、ん。まつたけ。」
松茸!?
「さんまは美味しかった。……ふあ。。。あふ。」
「おはようございます。」
「? ……おはよう? ……あれ、昨日、帰らなかったっけ?」
「はい。さっきここにきて潜り込んだんですよ?」
「そうか。」
そう言って晴彦さんは体をボクの方へ向けて、ギプスが巻いてあるゴツゴツした右手を乗せてくる。
結果、晴彦さんとは向き合って抱き合ってる形だし、晴彦さんはボクを離す気は無いみたいだし、ボクも幸せだからまあ良いか、って良くないけど抜け出せそうにないし。
じゃあいっか。
晴彦さんはボクを抱き枕にしたいのか、頭に顎を乗せたり、腕で抱えるようにして胸板に押し付けたり、足も絡めてくるし、、、ボクは、手籠めにされてる?
むむむ。これは抜け出せない罠じゃないですかー。
昨日、「行くな。」って言った通り寂しいんですか?
ボクはどこにもいかないですよー。
「晴彦さん、朝ですよ?」
「知ってる知ってる。」
「起きないとダメですよ?」
「知ってる知ってる。」
「もうっ。」
ボクは頑張って、もぞもぞ動いて晴彦さんに背を向ける。
なんということでしょう、晴彦さんがボクのおっぱいを揉みやすくなっただけでした!
動こうにも、今度こそ腕で押さえ付けられ、動けない。
しかも晴彦さんはボクのうなじに顔を寄せて匂いを嗅いでいる。
もみもみ。
「結菜、良い匂いするな。」
「そうですか?」
「ああ。」
朝勃ちかなあ、お尻に固い感触の何かが当たってる。
そして胸はけっこう揉まれてる。
「……だんだん、朝が早くなってるのは気の所為じゃないだろ?」
あ。
「……バレちゃいました?」
お父さんと顔を合わせるかもって思ったら、自然とそうなってた。それに晴彦さんとももっと長くいたいし。
「その分、寝ててもいいわけだ。」
「でもあと10分だけですよ?」
「ああ。」
そしてもっと顔を埋めてくる。
プツン。
「あれ?」
ポツポツ。
晴彦さんは、無言でボクのブラウスのボタンを外してる。
「ちょ、ちょっとー。晴彦さん?」
あ、ちょっと。ブラもずらすんですか?
朝ですよ? 夜じゃないですよー。
ぷるんっ。
「――あっ、、、ん、んんっ。」
下から掬うような揉み方で、乳首も摘まれて。
っていうか、晴彦さんに直接おっぱいを触られてるのってこれが初めてじゃない!?
「はるひこ、さぁんっ。」
そのまま、晴彦さんは無言。
ボクの匂いを嗅いでいる、というか取り込んでるみたいな感じだし、おっきな晴彦さんはスカート越しのお尻にめっちゃ主張してる。
まあ、なんだかんだボクもお尻をもっと擦りつけたりしてノリノリなんだけどね。
口ではもっと抑えてよーって感じを出しておくよね?
不満があるとすれば、キスできないことかな?
晴彦さんが満足なら、どうでもいいんだけど。
このあと振り向いて、キスを始めたら今日は学校に遅刻するのが目に見えてるし、晴彦さんにも迷惑がかかるから、我慢。
今夜は予備校も無いし、帰ってきてからゆっくりしよう。
「もぉー。好きにして良いんですけど、朝ですよー?」
「……知ってる。」
もぉー。
*** ***
晴彦さんと朝ごはんを食べて、今週のご飯代を貰って、ボクは電車内でスマホをタプタプ。
科学のトレンドとかを追う。
トップジャーナルの要旨を読んだり、国内学会の発表タイトルや要旨を読み漁る。あとは科学系企業のニュースとかそういうのも重要だよね。あとは日経系のサイトとか、科学の情報を出してるけど、やっぱり薄い。
さすがボクだから、それくらいなら凄いスピードで消化できる。
あーでも、やっぱりタブレットがあった方がいいよね。
絶対おねだりしてやるー。
あ、そうだ。サイトの名前とか、どうしようかな。
"Passage Links" そんな言葉が浮かんだ。じゃあそうしよう。道が繋がるような、文章が繋がるような、そういうのを目指そう。
ボクの名前は "A Literary Girl" つまり文学少女だ。SNSは「りてらりーがーる」名義で。
サイトの形態としては、左にコンテンツ一覧を置いて分割して、右にコンテンツを表示する感じで。コンテンツはブログ形式だけど、アクセスをわかりやすくするために目次みたいなページから飛べるようにする。
あとは、、、まあ最初から色々作りすぎずに拡張性だけあれば良いか。
うんうん。
あとはいくつかコンテンツがあれば形には出来るね! よーしがんばろう。
*** ***
「こんちわーっす。」
「こんにちはカナダくん。」
今日は神谷先輩がいない。ということは、、、何か宮本先輩関係でイベント発生中かな。
ボクが、そんなことをつらつらと考えていたときに、カナダくんがやってきた。
カナダくんも部室を見て、神谷先輩がいないことを確認して、そしていつもみたいにボクの斜向かいに座る。
「……先輩。」
「なに?」
「先輩の宿題、考えて来たんですけど。」
「うん。」
宿題。
振り向いてもらえない相手に嫉妬するか、不安になるか。
「悲しくなりますね、俺は。ヘタレなのはわかってるんで。悲しいですし、寂しいです。」
「そっか。」
だから君じゃダメなんだよ?
ボクがこうなる前から、ボクの趣味もあるけどカナダくんには神谷先輩より惹かれなかった。
神谷先輩が最大級の地雷だってわかってて、それでも。
「俺、けっこう淋しがり屋なんですよ、先輩。」
そんなゲームみたいなこと言って振り向いてくれるのは、財力があるお姉様くらいだけど、お姉様方だって、淋しがり屋のワンコには細やかなケアと対応を求めるものなんだ。
カナダくんじゃ、ダメなんだなあ。
「そっかー。」
うんうん。
と、ボクは頷く。
「俺は――、」
ガラガラッ。
「おーっす。元気してるー? ってゆいなんとキャナダくんじゃないか!」
「志乃ちゃん!」
わー! 久しぶりの志乃ちゃんだ!
相変わらず目が死んでるよね!
「あれま今日はお二人さんだけってアタシも含めて三人ですかそうですか。……うんとこどっこいしょ。」
ボクとカナダくんから近い側のお誕生日席に志乃ちゃんはどっかり腰掛ける。
言葉を遮られ、圧力にカナダくんは口を噤んでしまった。
あのあと、何て言おうとしたのかな。
「はーっ、やっぱ部室は落ち着くわ。」
「お疲れさま、志乃ちゃん。」
「あー、そこのキャナダくんから聞いてる? アタシ、ブロックアートっていう廃墟に悶えてきたわけなのよ。」
「うんうん。」
「ヒップホップでもまだまだ知名度が低いグラフィティっていうジャンルは、ともすれば街中の落書きでしかないじゃない? でも、考えてみると男同士の汗くさいアレコレにご飯が進むよね?」
相変わらず、志乃ちゃんは出会って早々マシンガントークだ。カナダくんはたじたじだけど、ボクはこんなふうに話す志乃ちゃんが輝いて見える。
「グラフィティを刻む場所や内容で、その人の感情とか思いとかが溢れて来るような眩暈がしたよ!」
「そうなんだ。」
「ああ、それとは別にちょっと思い切った物も書きたくなってね。――はいこれ。」
「……セリヌンティウスの慟哭?」
ちょ、大御所にケンカ売りすぎだよ!
「そそ! やー久し振りに中学の教科書とか読んだわけ。そしたらアタシってばなんでこんな美味しいもの見逃してたかなって思ったよね! メロスの俺様感もセリヌンティウスの総受け感も、ディオニス王の闇を抱えた感じも最っ高っ!!」
その後も、志乃ちゃんはテンションMAXで駆け抜ける。
語りは饒舌でキレッキレだ。
そんな志乃ちゃんの演説じみて滔々と語られる解説を、ボクは楽しく聞いている。
「――だからさ! 緋色のマントをメロスにかけた少女も、最初はマジか! 女がこの3人の間に絡むんじゃないよ! ってキレそうだったけどアレは違ったんだよね! 目の前の3人の関係性があまりに尊いから見てられないっていうか、やっぱり俺様な地方盟主の息子であるメロス、そのメロスに振り回されててばかりだけどそれが嬉しいセリヌンティウス、二人の美しさに触れて心を開いたディオニス王、この3人だよ? 少女も3人の関係は3人だけのものにしたかったんだろうね! そういう読者の気持ち的なものを少女の形に落とし込んで生みだされたキャラクターだったんだ! じゃなきゃあんなに唐突に男性が羽織れるような、しかも緋色なんて上等な色のマントを準備できるわけないじゃん! あれはメタ視点で3人のアレコレを知ってたから、予め用意できたとしか思えないじゃんか!! しかもアレが男性キャラだったら、それこそノイズになっちゃうし? ……ああやっぱり、アレは尊さのわかる純粋な少女だからこそ、3人の関係性の尊さが際立ったんだよね!!」
「なるほど。」
そういう解釈もアリなのかー。
「でさ。……またゆいなんに読んでもらって、感想とか欲しいなーなんて、思ったりして。」
「いいよ? いつまでに? 明日?」
「んー早い方がいいかな? でも明日とかじゃなくても大丈夫だから。」
「わかった。」
もう良い時間だった。志乃ちゃんの話を聞きながらでも、やっぱり手元の問題を解くことはできた。
「じゃあボクはそろそろ帰るね。」
「え゛っ!?」
さっきから志乃ちゃんの勢いに圧倒されてたカナダくんだ。
「あ、じゃあ俺も……。」
「あー、みんな帰っちゃう感じ? じゃあアタシも一緒に帰るよ!」
あ、それは楽しそう。
「そうそう、カナダくん。」
「なんですか?」
嫌そうな顔からソワソワしだして、またちょっと不機嫌になったわかりやすいカナダくんは今、またまたボクに話し掛けられて嬉しそうにする。
「忠犬ハチ公って、待ってるだけしかしなかったし、ご主人様とは会えずに死んじゃったよ? 周りの人に応援されたり、励まされたり、ご飯を貰ったりしたんだけどね。それでも、それっきりだよ。」
「――っ。」
カナダくんは一転、わかりやすいくらいハッキリと、シュンとした。
*** ***
「ごめんなさい!」
ボクは晴彦さんにペコリと頭を下げる。
お風呂から上がった晴彦さんに連れられて、寝室にきたところまでは良かったんだけど、ボクにはよろしくない理由があった。
「……生理に、なっちゃいました。」
そう。ここ最近の身体が暖かかった感じも全部、それが原因だった。もう体温も少し下がったみたいだった。
月経を迎えてもやっぱり結菜が対応できたから、それ自体の混乱は無かった。
大問題なのは、晴彦さんがボクの身体を満足に楽しめないことだ。
「そ、か。……えーっと、こんなことしてて大丈夫? 家で休んだり、」
「あ、大丈夫です。ボクは軽い方なので、5日か6日間くらい続きますけど、寝込んだりとか無いですから!」
「え、あ、そう?」
「はいっ。……あ、あの、晴彦さんに、指で、気持ち良くして、もらえなくなっちゃいましたけど。。。」
ボクはいそいそと晴彦さんに近寄って、ぎゅーって抱き着く。バスタオル姿の晴彦さんの身体の感触が直接わかる。だから晴彦さんも、ボクの身体の感触がわかってると思う。抱き心地が良いって思ってくれてたら良いなあ。
ボクは晴彦さんを押し倒す。
えーいっ。
晴彦さんは、ベッドのへりに足を取られ、尻餅をついてから背中を倒すところまで、されるがまま。
結局のところ、晴彦さんがえっちなことをするときは、ボクの体調を気にしちゃうから、どこまでがオッケーでどこからがアウトか教えないといけない。
だけどそんなの興醒め。
いずれ線引きが出来るようになるとして、今はボクが出来ることの100%をしないと、晴彦さんには伝わらない。
なので。
「いただいちゃいますね?」
ん……っ。
キス。
ボクはキスが好き。
びっくりしてる晴彦さんに馬乗りになって、啄むようにせがむ。
押し付けてほしい。
晴彦さんも優しいから、左手で頭を押さえ付けてくれる。
そこからは、ディープキスだ。
ボクはキスが好き。
晴彦さんの口の中、ねっとりと舌が生き物のように蠢くのに絡める。
それだけで頭がぽーっとするし、何時間でもキスしていたくなる。
でも、それじゃあ飽きちゃうと思うから。
「んっ……ふう。。。」
ボクは顔を上げて、晴彦さんのお腹に乗る。晴彦さんを見下ろすことになって、はしたないとかボクなんかが上に乗ってる罪悪感とかそんなことを感じてるけど、今はこの体勢が一番良い。
ボクは、ブラウスのボタンを一つずつ外していく。
あぅ……。
めちゃくちゃ恥ずかしい。恥ずかし過ぎて死にそうだし顔は火を噴くほど真っ赤だと思う。
でも変な高揚感もあって、晴彦さんにボクの身体を見てもらえるって嬉しさで震えてる。
晴彦さんは、露わになったボクのおっぱいを下から掴む。左右の手で、左右のおっぱいを一つずつ、零れ落ちないように下から掬うように、揉み込む。
まだ、ブラジャーを外してないですよ?
ボクはブラジャーの上から感触を楽しんでる晴彦さんのえっちな顔を見ながら、背中のホックを外す。
外すときって、背中に手を伸ばすから、反対に胸を張る形になるじゃんか。
ぷるんっ。
するとこんなふうに外した瞬間、おっぱいがちょっと大きくなったみたいな感じで震えるというか、下から見たら、めっちゃ良い光景なんじゃないかなって思ったんだ。
外したブラジャーを置くついでにおっきな晴彦さんになってるのは確認したし、外してからめちゃくちゃに揉まれてるし、晴彦さんってばおっきなおっぱいが好きだよね。
「んっ、、、あっ。――あんっ♡ 右手は痛くないんですか?」
「あー、もう割りと大丈夫みたい。昨日は急に痛んだだけだよやっぱり。」
「あ♡ きもちーです♡」
そのままボクはおっぱいや乳首を、好きなように弄くる晴彦さんが与えてくれる刺激に身を任せて、その刺激を増幅できるように集中して身体をくねらせる。
そうしてると、わざと感じてるのを強調するために身体をくねらせてるのか、晴彦さんのテクニックにあられもない声を上げさせられて、しかも感じすぎるから逃げるために身体をくねらせてるのかわからなくなる。
汗がじんわりと浮かぶ。
「ひゃっ――あっ♡ 晴彦さんっ♡ それきもち♡ いいっ♡」
ボクはこういうのも知ってるんですよ?
身体を前に倒しておっぱいで晴彦さんの顔を挟む。
パフパフだよっ♡
「ちゅっ――コリッ。」
――イひゃあっっっっ!!!!????
何々!?
なにこれ♡
コリコリッ。
ああんっ♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡♡
今度は反対側!!!!!!!!!???????????
「ちゅ、ぺろ、あむ。」
おっぱい、吸われてる? 舐められてる? 嚙まれてる?
コリッ♡
あひっ♡
これ、だめなやつ♡
「もうダメですっ♡」
ボクはベッドについた腕を伸ばして距離を取った――つもりだった。
コリコリッ♡♡♡♡♡♡
「あんっ♡♡」
ボクのおっぱいおっきすぎ♡♡♡
「晴彦さんっ♡ あっ♡ おっぱい、おいしい??」
「ちゅ、あむ。」
赤ちゃんみたいで可愛い♡♡♡♡♡
晴彦さんってば、夢中でおっぱい吸ってるんだからもぉーっ♡♡
ボクもおっぱいで晴彦さんの顔を責めちゃうぞ♡
おっぱいで顔を挟んでみるとジョリジョリした感触があって、おっぱいを押し付けてみると晴彦さんがフガフガ息し辛そうで、目の前で揺らせば吸い付いてくれるでしょ?
ああっ♡ もうっ♡ 晴彦さん可愛すぎだよぉ♡♡
なんだかんだ、ボクのおっぱいはベトベトヌルヌルになっちゃった♡
「堪能しました?」
「ああ……良かった。」
「じゃあ次はおっきな晴彦さんに挨拶してきますね?」
「は?」
うんしょ。
ボクは一旦ベッドから降りる。
晴彦さんの足はベッドの外へ投げ出されたままで、その間に割り込んだ。
バスタオルが2枚。一つは肩にかけて、もう一つは腰に巻いてる。腰に巻いた方のタオルは、真ん中が盛り上がってて、まるでサーカスの天幕みたいになって主張する。
よいしょ。
わっ。
ブルンッとガチガチに固まったペニスが現れる。ボクがこれからご奉仕させてもらう、おっきな晴彦さんだ。竿は5センチ以上太い気がするし、根本から両手で握って、まだまだ余ってる。しかもその上にさらに太いカサを持った亀頭がくっついてて、凶悪だ。
堪らなく愛おしい。
ボクは亀頭を撫でている。
「今日はよろしくお願いしますね? おっきな晴彦さん。ボク、希埼 結菜っていいます。これからいっぱいご奉仕しますね。」
ちゅっ、と鈴口にキスをしてから舐める。
精一杯口を開けて啣えると、いつもと角度が違って、口の上の方に当たる。
ボクはおっきな晴彦さんがすんなり奥まで入るように、腰に覆いかぶさるようにして、首を上下に動かす。
肩から身体を全部動かすと、喉が真っ直ぐにならないから、おっきな晴彦さんを全部飲み込むことができない。だから、腕は突っ張って肩を固定して、首から上だけ上下に動かす。
みちみちみち……じゅるじゅる。
口の中におっきな晴彦さんが入っていくということが凄くえっちで、頭を上げて引き抜くときのグロテスクさに興奮する。
自分がエッチな女の子だって自覚させられる。
しかもそんな姿を見てほしくて、それで晴彦さんがちゃんと気持ち良くなってるか知りたくて、上目遣いで見つめてしまう。
肘を支えにしてボクを見てる晴彦さんの視線が、蔑んでるように見えて、ゾクゾクする。
さて、もう充分濡れたかな?
ちゅっぷ。
「知ってます? 晴彦さんっておっぱいが好きなんですよ?」
ボクはおっきな晴彦さんに向かって話し掛ける。すると、まるで返事のようにピクピクッと反応するから不思議と会話が成り立ってるんじゃないかっていう気分になる。
もっと、ずっと愛おしくなる。
ボクは頬擦りしながら晴彦さんを見つめて、それでいておっきな晴彦さんに対して話し掛け続ける。
「おっきな晴彦さんはどうですか? おっぱいはおっきな方がいいですか? え? やだぁ♡ どっちでも好き、、、なんて♡ でも、おっきいとこんなこともできるんですよ?」
ボクは、ベチャベチャに濡れたおっきな晴彦さんをおっぱいで挟んだ。
そう、パイずりだ。
おっぱいを持ち上げて、挟んで両側からさらに圧力をかける。
「どうですか? いつもと違うでしょう?」
晴彦さんが何か言っているけど、あえて無視をしてる。
あえて無視しておっきな晴彦さんに話しかける。
「気持ちいいですか?」
たぶん、フェラチオの方が気持ちいいと思う。
でもパイずりに浪漫があるからか、いつもより元気なような気もする。
「じゃあこれから舐めていきますね?」
ボクは、おっぱいに挟まれて、それでも普通に飛び出してるおっきな晴彦さんの先端を頬張った。
これで完成! パイずりフェラなのだ♡
晴彦さんのおちんちんは大きくて、ボクもおっぱいが大きいから出来るんじゃないかって思ってた。
やってみた。
めちゃめちゃ良い感じ!
晴彦さんもびっくりしてるけど、気持ち良さそう。
ボクは下を向いて亀頭を口に含んで、身体ごと大きく上下に動かす。ペニスは根本からほとんどおっぱいに挟まれて、上の方の一部だけボクの口の中だ。
少し潤滑油が足りないからか、おっぱいで挟んでる辺りは、身体の上下にあわせて引っ張られるみたいになってる。実は気持ち良くなかったかもしれない。
だから、ボクは積極的に唾液を零す。いつもは飲み込んでるものを、はしたなくダラダラとおっぱいに流していく。
すると、少しずつ滑りがよくなって、おっきな晴彦さんも嬉しそうにピクピクしだす。
晴彦さんの顔はずっと見つめてた。
だから、だんだん余裕がない感じになっていくのがわかった。
見た目の浪漫に、ボクの技量が追いついて、見た目通りに気持ち良くなっているんだったら嬉しいな。
それに正直ディープスロートとはちょっと違う筋肉とか使うから、フェラチオしてパイずりフェラして、って交互にやったら、ボク的にはエンドレスにいくらでも晴彦さんにご奉仕出来るようになるしね♡
今までのご奉仕は勢いに任せてたから、フェラの回数が増えるとちょっと大雑把になっちゃって、晴彦さんも100%気持ち良かったって言えなかったんじゃないかな?
しかも同じような刺激で新鮮じゃないし?
ふふふ。これからはレパートリーが増えるのだ♡
どうですかー? 気持ちいいですかー?
「はあっ、はあっ、はあっ。」
えへへ♡
気持ち良さそう♡
ボク、やっぱり晴彦さんがボクで気持ち良くなってるだけで、しかも気持ち良く出来る所が増えるだけで更に役に立ってるって思えて、凄く嬉しくなる。
パイずりも奥が深い。ボクからするなら、フェラみたいに腰を上げて、上体を逸らしておっぱいでおっきな晴彦さんを挟み込んで飲み込む。それだと身体が支えられないから、ベチャって晴彦さんの身体にぶつかっちゃうんだけど、その状態で全身を大きく動かすと、お行儀よくパイずりフェラしてたときよりずっと晴彦さんが感じてくれてる。
ベチャベチャと身体にぶつかっちゃうし、ボクの体重がめっちゃ乗っかるから重いって思うのに、なんでだろ?
でも、着実に限界が近づいているみたい。
息も荒くなっていってるし浅くなっていってる。
これも、フェラの時じゃわからなかったことだ。
フェラチオはもっと必死にならないと出来ないからね。
「あっ、あっ、っく。――う、ううっ。結菜……っ。」
「ちゅぷっ、なn」
「――でる。」
ビクンッ!
え。
ドクッ、ドクドクドク。
「え、ぁわっ――ひゃっ、わっ、わっ、わーっ♡」
ドピュドピュと、精子が顔にかかっていく。
ボクは、晴彦さんに名前を呼ばれて、反射的に顔を向けてしまった。その時の刺激が最後の一押しになったのか、射精が始まって、どうにもならなくなっちゃった。
あー、これは顔射というものですね。
ごめんなさい。晴彦さん、ゴックン派だったのに……。せめて射精が終わったら、集めて飲むから許してね。
ボクは精子が飛び散らないように二度目以降の脈動ではおっきな晴彦さんの鈴口を見てた。よく考えたら、初めてこんな近くで射精するところをマジマジと見れた。
精子は勢いよく顔にぶつかって、何度か目に入りそうで瞑っちゃったりして、顔中ドロドロ。
ドクン、ドクン、、、ドクン。
最後はドロドロの顔で亀頭から残りを吸い出した。その時に、もう何回かヒクヒクと脈動した。
「あ、ああ……。」
「えへへ、ごめんなさい。」
気づかれちゃった。
ボクは顔についた精子を一旦おっぱいに落として、それからおっぱいをペロペロ舐めた。うん、美味しい♡ 結構な量の精子で、顔もおっぱいも張り付くようにペタペタする。
「……別に、謝らなくても。」
「だって、晴彦さん、ボクに飲ませたがるでしょ? さすがにボクもわかるよ。だから、口で受けることが出来なくてゴメンなさい。」
「ああ、そう。」
とかなんとか言いながら、晴彦さんはまだまだ物足りないとばかりにおっきな晴彦さんをガチガチに固めていく。
「だから、晴彦さん♡ ボクの口の、咽の奥まで犯しませんか?? きっと気持ちいいですよ♡」
とはいえ、ボクもごめんなさいなんて本気で言ってるわけじゃなくて、口実だ。
「晴彦さんも、精子を受け止められなかったボクにお仕置きが必要だって思いませんか??」
このあと、めちゃくちゃフェラチオした。
~to be continued~